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にしているんですね。

で、ご存じの通り、演劇では、とっても、重要なプロセニアム、開口の高さは、大体これくらいが良いとか、まあ、演劇の種類によっても違いますけれど、催物の種類によっても違いますけれど、歌舞伎でしたらワイドが、良いですとか。まあ、プロセニアムが、とても、重要なものになってくる訳ですね、それで、こういったプロセニアムがあって、それで、こういった広がった格好をしていて、で、というのは、お客さんを、少しでも前に寄せようと、すると、こういった形というものは、非常にリーズナブルなものになる訳です。で、この形というのは、実は、多目的ホールには、重要で、こういった所に、スピーカーを置く、こういった所に、脇花道が出来る、それから、こういった所に、調光室、照明スポットライトがあると、あてる事が出来るとか、まあ、いろんな、とっても、合理的な形状が、この多目的ホールな訳です。

 

ところが、コンサートホールに、とっては、そんなものは、重要でなくて、むしろ、無いほうが、良い。

で、先程、お見せしたコンサートホールと多目的ホールの、これは、単純な音線図なんですけれど、これを単純に比較しますと、なるほど、コンサートホールには、初期反射音と言われている壁からの音が、もう、万遍なく、うまくいっている。ところが、多目的ホールというのは、実は、こういう所が、空白が出来てしまっているという事は、お分りいただけると思います。

これ、断面的に見てもそうです。で、如何に、単純に、箱のこれがですね、上手く、音を反射させるか、というのは、これを、見ていただければ、分かると思います。で、これだけ要因が、決定的な違いが、多目的ホールと、コンサートホールの違いとして在る訳ですね。

で、これは、舞台の反射板というのがあって、ここに、額縁がある訳ですね、で、額縁がかわると、もうここで、ご説明するまでもなく。で、実は、このステージの上に、反射板とか、こういうたものが隠されている。これが、多目的ホールの典型的なもので、それに対して、これはご存じだと思いますが、ウィーンのムジークフェラインザールというシューボックスの典型的なと言われています。

で、あまり、時間も無くなりつつありますので、少し、まとめの方向にいきますけれど、実は、この違いをどうやって克服するか、というのが、最近の、コンサートホールを作る一方で、多目的ホールをどうやって改善するか、というのが、一つの大きな設計のほうのトライアルなんです。

で、実例を持ってこれるとよかったのですが、ちょっと、持ってくるのを忘れました。

これ、たまたま、神奈川県民、先程の大野館長の、別に、それを思って、持って来たのでは、ないんですけれど。ええ、これでも、かまわないです。で、多分、色々な例で、ご存じだと、思いますが、要は、ここの所を、どうやって、ギャップをなくすかという事なんですね。ですから、例えば、具体的な例で言いますと、葛飾のシンフォニーヒルズですとか、渋谷のオーチャードホールなんかもそうですが、もう、すでに、ああいうホールは、こういった格好をしていません。で、これがギリギリまで、ここが、シューボックスが、形になるようにして、実は、ステージを、こういうふうに、走行式反射板、そういった格好で、形を出来るだけ、反射板を組んだ時、コンサートホールに近くなるような形に組んで、で、それをとった時は、勿論、後から照明設備が、出てくるような、といった格好の設計というのが、最近、いろいろトライされているようです。これは、勿論、いろんな方法がございます。まだ、完成された訳では、ございませんが。まあ、言ってみれば、知恵の出しどころ、と言ったらよろしいんでしょうか。

で、そういった意味で、反射板まわりの形、形状を替える事によって、随分その辺の改良が出てきています。で、そこら辺りのものを可能にしたのが、実は、ここ、数年ぐらいだと、思いますが、コンピューター・シュミレーションといわれる室内音響の技術です。で、それまでは、今までのような事を理解はしても、では、どのように設計したら音響的に良いのか、悪いのかというのが、先程のように、2次元の反射面で、音線図だけで書いているうちは、よく分からなかったんです。で、最近は、パソコンレベルでですね、そういったシュミレーションが出来るようになりまして、それ

 

 

 

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