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あります、初期反射音が、強い、弱い。どれ位、遅れるか。それから、どの位の密度でくるか、それから、どちらの方向からくるか。周波数特性はどうなのか、初期反射音は、低音域だけがくるのか、高音域だけが、初期反射音でくるのか。

で、そういった事の諸々が、全部集まって、実は、音量感だとか、音色だとか、或いは、ここに書いてある、空間的な音の拡がり、なんとなく、空間がワアンと鳴っているような感じがするだとか、或いは、明瞭だとか、明瞭でないだとか、まあ、そういった事に、影響してくるんですね。

で、これは、響きの長さとは全然、別のものですけれども、実は、コンサートホールで、一番、重要な事は、これで。しかも、一言で表わせない。先程の、2秒みたいに表せないのが、実は、これなんです。

だから、コンサートホールの音どうですか、と聞かれると、いつも、良いとか、悪いとか、或いはライブだとか、まあ、そういう表現しか出てこないんですね。そういう、表現しか出てこないとすると、新しいコンサートホールといった時に、新聞記事に書けないので、それで、残響時間何秒なんですかと、今のところなっている訳です。

で、だとすると、初期反射音というのは、例えば、天井の高さだとか、或いは、壁からどれ位、距離があるかだとか、或いは、壁の形だとか、或いは、材料だとか、そういった基本的な部屋の形状に、すごく左右されるという事は、お分りいただけると思います。

で、先程、残響時間の説明の時に、部屋のボリュームだけ分かれば、もう、そこの残響時間が、説明が出来てしまう。で、どういう形の部屋であろうとも、まあ、最近、シューボックスだとかね、よく、部屋の形、中型コンサートルは、シューボックスが良いだとかね、よく言われますけれど、そういう部屋の形は関係なく。で、丸い部屋でも、三角の部屋でも、先程の残響時間は、ボリュームさえ決まれば残響時間決まってしまうんですが、この初期反射音考えますと、これは、全然違ってくるという事はお分りいただけると思います。で、部屋の形は、初期反射音にとっては、とっても、重要で、音のクオリテーに対して、部屋の形が、決定的な要因といってもよいかと思います。

で、先程、コンサートホールの典型的な形として、多分、シューボックスという言葉は、もう、お聞きになったと、思いますが、シューボックスというのは、特別の形でなくて、要は、長方形の部屋なんですね、ただ、まあ、天井が高いんですけれども、そういった箱型の部屋なんですけれど、実は、シューボックスコンサートホールというのと、これは、多目的ホールと言われている典型的なホールの形状なんですけれど、まあ、根本的に違っています。で、おそらく、日本の90ナンパーセント以上が、今まで、建てられてきた多目的ホールの典型的な形で、建てられておる訳ですけれども、そこら辺りについて、ちょっと、ご説明いたしますと、多目的ホールと、コンサートホールというのは、このように違います。

で、コンサートホールというのは、ただの箱でいい訳ですけれど、実は、多目的ホールというのは、ただの箱では、困る訳で、先程、直接音の後に、部屋の響きが、どうのこうのと、言いましたけれど。実は、多目的ホールというのはコンサートだけでなく、いろんな事をやらなくてはいけない訳でね。

音響的に言いますと、多目的ホールというのは、大きく、二つに分けて、いいと思います、というのは、クラッシックのコンサートか、それ以外。それで、それ以外とは、何をいうかと、言いますと、要するに拡声設備を使うか、使わないか、それだけです。音響的に重要なのは。

で、拡声設備を使わない生音に関しては、部屋の形が、圧倒的に重要だと、いう事です。

で、拡声設備を使う催物に関しては、実は、部屋の形は、あまり重要ではないと、いう事なんです。スピーカーが、どこにあるか、スピーカーが、どういうクオリテイーか、それが、主に重要なんです。で、それが、音響的に、決定的な違いです。で、ご存じの通り、多目的ホールというのは、大体、こういった形、構造になっています、上が、断面で、下が、平面なんですけれど、ご存じのように、ここには、音響反射板というのが、あります。で、この音響反射板がないと、実は、ここで、出した音というのは、全部ステージにある幕類とかに、ほとんどを吸われてしまうんですね。

それが、吸われては困るんで、ここに音響反射板というものを使用して、ここから音が出るよう

 

 

 

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