ある地方で、小さいホール建てるのに、とにかく、お金がない、で、とても、お金が足りないので、残響2秒は、ちよっと、無理かもしれないけれど、なんとか、このお金で、1.8秒位までに、していただけないでしょうか。まあ、冗談かとお思われますが、本当に、そんな話があったんですね。要するに2秒をクリアするには、お金がかかると。で、ああいう豪華なものを作らなくては、いけないと、ところが、お金がたりないと、で、1.8秒で我慢するから、なんとか、そこまで、もってきてほしい、と。まあ、技術的な立場の方が、考えると、何でもない事なんですけれど、もお、社会現象として、起こりました。
で、今のお話から、残響時間というのは、重要なものです。でも、残響時間だけが、だけを、どうのこうの言っても、ほとんど、一部分の性質だけにすぎない、という事はお分りいただけたと思います。
で、たとえば、先程言いました、これ、先程の絵と、いっしょですが、ここの傾きが、残響時間だと、ご説明しました。で、実は、これ二つ、同じ残響時間なんです。でも中身は少し違えて書いてあります。で、これで同じ音がするかというと、勿論、同じ音がしない。で、同じ残響時間、あるいは、同じ残響感という言い方でもいいんですが、響きは、同じように残っているんですが、聞こえ方が違うのは、実は、この中身が違っている訳ですね、これは、ここが少し無いとか。
要するに、天井が高くなると、天井からの音というのは遅れてきますし、側壁に近い席と側壁から遠い席とでは、当然、側壁からのこういった音は、違ってくる訳ですよね。で、先程、言いました、一つの部屋では、残響時間全部同じですという事は、この傾きは、どこも一緒なんですね、その部屋では。
ところが、場所によって、これが、全然違ってくるというのは、簡単にご理解いただけると思います。例えば、前の方の所で測ると、こういう特性だけど、それもちょっと、後のほうへいくと、全然違ってくる訳ですね。で、場所によって、例えば、ここに50席あるとすると、50点分とると、50通りのこういった波形がでてきます。一席一席全部違う。でも、残響の傾きは、同じ。
で、これが、実は、ホールで、一階席が良いか、二階席が良いかという、その一つの原因になっているというのは、ご理解いただけると思います。要するに、響きの中の成分が違うんですね。
で、そこら辺りが、残響では表せないという事の問題があります。で、私どもが、こういう説明を、どうやって分かっていただこうかと思って、四苦八苦して、いっもホールの発注のお施主さんにご説明するのですけれど、かってサントリーホールをお手伝いした時に、さすがサントリーさんだなと思った事は、上手い事を言ってましたね、我々、そんな事を説明したんでなく、普通に一生懸命、こういう技術的に分かりにくい方法で説明していたんですけれども。成程、残響時間というのは、ウイスキーの度数のようなものなんですねと言われました。で、要は、ウイスキーの度数で43度とか、44度とかいうのがございます。
で、あれみたいなものですねと。ウィスキーの44度が出来ましたと、これもとっても良いウイスキーですと言っても、多分、誰も、そんなもの飲んでみなきゃあ分かんないょと、44度のウイスキーそんなもの当り前だよと、で、でも当然、ウイスキーのクオリテーは全然違う訳ですよね。で、アルコールの度数は44度でも中身が、さっき言ったように中身が全然違う訳ですよね。じゃ、40何度というのはどうという事ないのか?と言うと、いゃ、ウイスキーである為には44度、45度位ないと、30何度のウィスキーが出来ましたと言ったら、それはちょっと違うんじゃない。で、例えば44度であろうと45度であろうがそれは、そんなにないですよね、我々は。もうウイスキーに限らすワインでも日本酒でも焼酎でも同じ事なんですけども。私はそれを聞いた時、とっても分かりやすい表現だなと思って、それ以来全部、それを紹介させてもらっているんですけれど、巧い事を言ってました。ウィスキーの度数、アルコールの度合いのような事を言っていました。で、という事はアルコールの度数は重要なんです、重要なんですけれど、それだけを後生大事に持っていても全然意味がないと。で、良いウィスキーも出来ないと。
よく新聞に書いてる残響何秒のホールが出来ました、45度のウィスキーが出来ましてと、いゃ、