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なと、で、それは、ここで、切り替えて聴いて、初めて分かる。ですから、この部屋が、仮に2秒としますね、隣の部屋へ、次の日にいって、パッと聴いた時、0.2秒違ったら、どの位違ったか、分かるかというと、我々は、分からないんですね。で、それは、先程、私が申し上げた、パッと言った時、これ、何秒位ですかね、て、言われるのが、一番辛いんですよね。音響の専門でしょって、言われても。

我々の耳は、これくらいしか分からない、という正確のものなんですね。

で、もう一つ、申し上げますと、実は、残響時間、残響時間と、一言で、言ってきましたけれど、例えばここのホールも、出来上がった時にですね、残響測定して、残響何秒と、いう言い方が、あると思うんですよ。その残響何秒というのは、どの位の高さの音、高音で出した時、低音で出した時、中音で出した時、残響時間も、実は、周波数特性というものを持っています。

で、いわゆる、普通に言っている残響時間何秒というのは、中音域500Hzに、おける値だと、いうのが、一つの約束事なんですね。中音域が1.5秒ですよ、あるいは、500Hzが、1.5秒ですよ、あるいは、500Hzが、2秒ですよ。で、低いほうの音は、高いほうの音に関して、極端な事を言うと、一切関知せず。で、例えば、こういうグラフ、これは、結構、どこのホールでも、自然に、こういう特性になるのですが、これ、横軸が、周波数特性(Hz)で、縦軸が残響時間(S)で、125Hz低いほうは長くて、中音域になって、高い方へいくと、短くなる。で、高い方へいくと、こういうふうに、短くなるとですね、これは、大きな部屋になると、空気吸収といいまして、音が、空中をクルクル回る訳でして、空気中で、高い方の成分だけが、吸収されてしまうんですね。だから高いほうの残響時間だけは、短くなってしまう。で、そういう意味で、どこのホールでも、みられる特性なんですが、先程、申し上げましたように、残響1.5秒というのは、500Hzだけをいっているんですね。

で、勿論、フラットなホールもあれば、少し、こっちが、短くなっているものもある、あるいは、真ん中だけ、盛り上がっているものもある、あんまり、極端では、ないですけども、残響時間の周波数特性というのは部屋によって、いろいろ変わってくる訳です。当然、音響の材料が、低いほうだけ、吸うだとか、あるいは、高いほうだけ、吸うだとか、低音域だけ吸うだとか、まあ、そういった偏りがあると、特性が、出てくる訳です。でも、残響時間1.5秒といったら、とにかく、中音域の1.5秒だけの話です、という事になる。

で、残響2秒の功罪と書いてありますけれど、最近はそれ程でもない、いや、やっぱり多いですね。ホールが出来ますと、新聞記者は、大抵、残響時間何秒ですか、いや、音響は、それで、分かりましたと、言われるケイスが、とっても多いです。残響2秒の功罪というのは、別に、罪のほうだけ言おうと思って書いたのでなくて、ご存じのとうり、大阪のザ・シンフォニーホールが出来ました時に、日本で初めてのコンサートホールという事で、大変、話題を呼びまして、残響2秒という本を、製作、設計されたグループで、お書きになられて、尾関さんのほうですけど、とっても、読みやすい本だったという事も、ございまして、残響2秒、コンサートホールで、残響2秒という事が、とっても、新鮮で、売り言葉だったのですね、キャッチ・フレーズだったのですね。これは、残響時間というのは、重要なんだと、残響が、長い、短いで、音響性能が、随分変わるらしいと、という事を、一般的に知らしめたというか、一般化したという事では、とっても、ホールの音響に対する関心の高まりという事では、すごい効果があったと思います。

で、それと同時にですね、たまたま、2秒だったものですから、なんでも、2秒でないと、良い音でないと、いうところまで、行ってしまった事も、事実です。先程、言いましたように、部屋の大きさによっても違うし、周波数特性も持っているし、いろんな事を考えなくてはいけない。

2秒でも、2.11秒でも、我々、本当は、分からない、聴いてみても。でも、2秒や、2.1秒だからまだ良い。ところが、1.9秒だったら、0.1秒足らないという事が、大変問題になる位、残響2秒というのは、話題になりました。

で、そういう意味では、何でも2秒、2秒でなければ、コンサートホールではない、という時代が、一時期ありました。最近は、そこまで、いってないと思うんですけれど。

 

 

 

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