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れから天井から反射した音が聞こえ、壁から反射した音、床から反射した音、それから天井へ行ったものが、もう一度、床へ行って反射してくる。というグルグル、グルグル繰り返す訳ですね。それをですね、こういったマイクロホンをどこかに置いておきまして、それで、オシログラフとかで、見ると、こういう波形が見られる訳です。

で、最初に、直接音というのが、ポンと来て、その後、天井から、壁から、床から来て、どんどん反射を繰り返していくうちに、少しづつ吸音する。吸音していきますので、反射を何遍も繰り返していくと、だんだん、バーンと、こうなる訳です。ですから、お風呂場などで、ポンと叩きますと、バーンと、あるホールでも、言いますけれど、これは、そういう絵を表わしています。

で、実は、その残響時間というのは、残響時間について、ちょっと、ご説明しておいたほうが、よろしいと、思います。残響時間といいますのは、何を表わしているかと、言いますと、実は、この減衰していくこのカーブですね、これの傾きを残響時間と言います。で、当然、反射する材料ですと、なかなか減衰しないで、いつまでも、いつまでも部屋の中で、グルグル音が回る訳ですね。それに対して吸音する材料、例えば、ここの床なんかは、カーペットで吸音してしまう訳なんですが、吸音する材料が多いと、ガクッと減る。で、この傾斜がですね、こういうふうに、なってくるのですね。で、残響時間が短いというのは、こういう事を、いうのですね、こういう状況の事を言います。で、残響時間が長いというのは、こういう状況のことを言います。

で、単に、残響時間というのは、それだけの事なんですが、残響時間といいますと、これの傾きだけなんですけれど、言ってみれば、残響時間というのは、残響の量、残響が多い、少ない。で、音が、響きが、良いとか、悪いとかいうのは、実は、量でなくて、同じ長い響きでも、音が良いとか、悪いとか、それは、よくホールでも、どこら辺りの席が良いとか、悪いとか、と言うのは、ご存じだと思いますけれど、残響の量というのと、残響の質というのとは、実は、違います。

響きの質ですね、この響きの質については、ここの反射音が影響してくるのですが、この辺は、後で、ご説明いたします。

まず、響きの量ですね、響きの量というのは、残響、これが残響時間なのですけれど、単に、その残響時間につきましても、2秒間というのが、何のことかと言いますと、これは、物理学的に定義された、決まった量です。で、ここに書いてありますように、ちよっと言い方は面倒くさいのですけど、音が、室内で自然減衰する時に、音源停止後、音のエネルギーが100万分の1に減衰するまでの時間をいう。このように七面倒んどうな事を言うから、ついつい、分かりにくくなるのですが、要は、ここで100万分の1と書いてありますけれど、よく、何ホーン、何ホーンと言いますね、60ホーンだとか、街頭で90ホーンとか、まあ、そういった事だと、思っていただければいい訳です。

100万分の1というのは、ここにマイナス60デシベルと書いてありますけれども、大体ですね、この厳密に言いますと、全然違うのですけれど、この60ホーンだと、60ホーン少なくなる迄の時間、ですから、90ホーンのものが、30ホーンになる、或いは、100ホーンだったら、それが、40ホーンになる迄の時間、だから60ホーン、でなくて、デシベルなんですけれど、大体そんな感じで、覚えておいていただければ、いいのでは、ないかと思います。

ですから、実は、残響時間というのは、どんなに音が大きくても、小さくても、その出た音が60ホーンになる迄の時間をいうと、いうふうに決められているんですね。こういう約束事をしないと、物理学的量として取り扱えないものですから、こういう約束がしてあるのです。という事になりますと、実は、残響時間というものと、余韻が聞こえる時間というのは、違います。

で、大きな音を出しますと、当然、同じカーブで減衰していっても、余韻が聞こえている時間は長い訳ですね、ところが、小さな音を出しますと、同じ減衰をしていっても、余韻が聞こえる時間が少ないのですねですから、先程、残響というのは、このグラフのこれの傾きですよ、と申しあげたのは、こういう事なのですよね。これ、同じ傾きで減衰していくんです。という事は、ホールの中でですね、ドーンと大きな音を出しますと、ワアーンと、聞こえてくるのですね。所が、これが、残響2秒か、或いは、これが、残響1.5秒か、要するに、それが聞こえている間は、1.5秒だと思っていると、そうでなく、小さくパッと、といった音も、残響2秒は2秒。1.5秒は1.5秒。所が、

 

 

 

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