かない。
つまり、感覚だけの問題ではない訳です。即、手をつけないと、企業そのものの屋台骨が、引っ繰り返ってしまう。だから、いかにして効率的に人を減らして、効率的にしていくかという事を発想していく訳です。これは、私はどの場合も必要な事だと思うんです。劇場ホールの経営にしても、やはり、こういう時代、世の中がこうなってくると、税収はどんどん落ちてくる。と、予算はどんどん減ってくる。で、どうしたらいいのか、やはり、出るところは極端に押さえる。出費するところは、どんどん減らしていく。それには、かなり計画的にやらないと出来ないのですね。
計画的にやるとは、どういう事かというと、大体が、いままでの劇場が出来て、その組織運営をみてますと、その場、なんて言うかドロ縄というとおかしいけれど、まあ、半分思い付きみたいにして必要な手を増やしていく。最初からこのホールを、こういうふうな形で、こういうふうに効率的に、運用をしようという目算があっての事ではないのです。まずは、手が足りないから人を集めようよ。集めるだけ集める。これ一遍集めてしまうと、これ、簡単に辞めて下さいという訳にはなかなか言えないですよね。
私が考えている経営の方針というのは、本体は出来るだけ少なく、小さく、要するに、必要最小限の責任ポジションのトップがいればいいという極端な話ね。後は柔軟に、変えられるようにしといた方がいいですよ。その部分は、契約でも、いいじゃないですか。この世界、今、時代が、なんというでしょう年棒制、年俸契約制というのが、盛んに、言われている。私などは、昔からその考え方です。
特に、舞台等というものは、技術が優先の社会ですから、いわゆる、職人の世界です。これは、年俸契約制を取り入れて、その人の技術が高ければ、多少高いお金を払ってもいいのです。気にいらなければ、今年一杯で結構です、と言える。お互いにその方がいいのです。競争の原理を入れなくてはいけない。
出来るだけ、競争の原理を入れる、さもないとマンネリになると、サービス、いわゆる、サービス低下しますわね、技術力が落ちてきますわね。ただし、劇場の特殊性という事もありますわね。劇場ホールが全部、すべてが、すべて、同じ機能を備えている訳ではない。入っている機械も違う、機構も違う。それに、ある程度馴染んででいないと、事故を、起こしやすい。だから、それには、要の部分は、劇場を熟知した人が、そこに、責任者として居るべきだ、というのが、私の考えです。
これが、実際どこまで、うまく、運用するかということは、まだまだ、これからの問題だけれども、出来るだけ、そういう考え方で、いろんな物事を運用していきたいと思っています。手をつけられる所から、そうしていく。
先程の新田町にしても、その都度、東京から高いアゴアシをだして、技術者を呼んでいたんでは、とても採算が合わない、で、早く地元の人達だけで運営出来るように、そのサポーターと言われているかた達に、その中には、大勢いますからね、四五十人のかた達がいますから、その中で、照明に興味を持っている方、音響に興味を持てる方、大道具に興味を持てる方、色々いる訳ですから、そのグループをキープしておいて出来るだけ技術を習得してもらう。東京から一流の先生を呼びました、あなた方それを早く盗みなさい。
技術というものは、盗むものですよ。多少時間はかかるけれど、それをやっていくと、その地元にそういう技術が残っていく。よっぽど、人がかりのものを呼べば別にして、普通の公演なら、地元の人で充分運営していく事が出来る。それが、地域の文化の運営という事に関しては、一番理想的だと思うんです。
事実、それは、都市によって、そういう計画のもとに、やってらっしゃる所もあると思います。
やっぱり、先程、青木館長が、おっしゃっておりましたけど、名古屋でも、やっぱり地元でかなりの部分自立してやっていけるというスタッフなり、或いは、出演関係者なり、育ってきている。これは、すごく良い事だと思います。結局、地域の文化施設というものは、そういうふうにして、自分の足元から、そういう事を整備して育てていくという事を考えていく事が一番大事だと思いま