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事も出来る、その空間をどうやったら、効果ある空間にしたてあげる事が出来るか、という技術も備わってくる。

その経験がないから、いつでも、劇団側は小屋を借りて、ホールを借りて一時的な仕事しか出来ない。

自分のものとして、その小屋を使い切る事が出来ない。いつも借りるだけ。だから、劇場のことを、よく知らない。だから、皆さん方が、よく消防法などの問題とか、色々ありますよね。あるいは、舞台の安全の問題とか、後で述べますが、安全の問題にしても、そうです。いろんな事、ああいう事、こういう事やりたいと言ってきますよね。これは、どこで摩擦がおこるのか?ものを作る場合は少しでも、新しい手法、新しい効果を狙うのは当然です。新しいもの作る人達は、そういう発想をするんです。

ところが、管理する方になると、それは危ないから止めてください。そこで、私は、ここに書いてある、基本的に、原則可能と原則不可能の違い、というのはそこなんです。

私が、今まで、色々な、あちら、こちらのホールを拝見して感じた事は、原則不可能という発想がほとんどなんです。ほとんどでした。最近は、変わって来ていますけれど。私は思います。劇場という所は無限の可能性を秘めた所なんだ、だから原則可能にしなさい。ただし、その危険が有るか、無いかの、裏は取らなくてはいけません。だから、安全対策一つ取ってもそうです。つまり、その効果、その特殊なやり方をやった時に、その裏づけが取れているのか?あるのか?迫りを動かしましょう、人を乗せて動かしましょう、奈落から上げてきましょう。では、その時、奈落の状態がどうなのか?安全要員が、そこに、立てられますか? ね、立てられないで、やみくもに、キッカケがきたら、迫りを上げていいっていうものでは無い。そういう使い方はしてはいけません。

ただし、それは、どうしても演出上効果として取り上げたいのなら、奈落に安全要員をおいてください。しかも、緊急に連絡が取れる方式を取ってください。つまり、インカムをつければいい事、トランシーバーを用意すればよい事、緊急停止がかけられる事が出来るように。現実に、今からもう随分前の事ですが、宝塚で、迫りから上がってくる宝塚の女優さんが、迫りの、スカートのスチールベルトが機械に狭まって、お腹が切れてしまった。悲惨な事故がありました。これなんかは、奈落で、その時監視要員がいれば、緊急ストップをかければ、そこで止まった訳です。そういうような事を逐一安全にこれが、運行されるのか? どうか? そういう事が確認されてから、おやんなさい。ただし、その場合には、経費がかかることもある。でも、これは、止む終えない事。

現実に、先程お話した新田町でのミュージカルでも、バトンにブランコで人を吊って降ろしたい、これはカラスの役をやる小母ちゃんを降ろす。確かにカラスですから、ブランコで、上からスゥーツと降ろすと、カッコ良い訳です。やはり、劇的な効果が得られる。

ただし人を吊るんですから安全のチェックをきちっとしなさい。どうかというと、まず、荷重の問題がありますね。バトンの荷重、まあ、ひと一人ぶら下って、バトンの荷重、どんなに少なくても、230K充分荷重に耐えられるような設計になっている筈ですから、そうすると、ひと一人吊っても大丈夫です。

その次に、ブランコに、万が一にも、滑り落ちないように、安全ベルトが付けられるか、どうか?これも付けられる。で、それも付けなさい。ただし、これのアップダウンは、モーターでは無い、手引きである。バトンの位置からして、手引きしか無い。手引きだから、スピードは安全なスピードで操作出来る。ただし、これは、アマチュアの人だけでやるのは、これは危険である。だから、本職の大道具を一人呼びなさい。これは経費がかかりますね、アゴアシから出る。稽古から千秋楽まで、何日間いるか、ある種の経費増になります。けれど、これは止むを得ない事ですね。たかがブランコひとつの為にとはいうものの、それが本当に演出効果上必要ならば、そこまでしなくてはいけませんよ。

しかも、こういう事っいうものは、専門家でないと解らない。つまり手引きのバトンでブランコで人が降りました、本当でしたら、手引きですから、こうやって降ろした時に、ストッパーかけなくては、まあ、人が降りた時は、アンバランスですから、ポンと跳ね上がってブランコふっとんじゃ

 

 

 

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