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ワイヤの衝撃力

舞台というひとつの空間の中では、多くのワイヤが使用され、これらのワイヤには荷重によって大きな引張力が生じています。

カラバトンといっても、バトンを簀の子から支えているワイヤ(吊り線)には、バトンの自重を支えるとともに、引張力が生じています。このようなワイヤが、何らかの原因によって外れた場合、ワイヤには衝撃力が生じます。

このワイヤに生じる衝撃力は、静荷重に対して何倍の大きさの衝撃荷重であるかを次の式で求めることができます。

(図-5参照)

037-1.gif

 

037-2.gif

ここで、ワイヤ径6(mm)、ロープの長さl=4,000(mm)、ウェイトの落下距離h=100(mm)を与条件として、衝撃荷重と静荷重との比を求めてみます。式(5)より、

037-3.gif

となります。このn≒12という計算結果は、落下距離100(mm)の場合、ウェイトの荷重(静荷重)の約12倍の大きさの力(衝撃荷重)がワイヤに生じるということを意味しています。

このことからワイヤが外れるということが、いかに危険なことであるかが分かります。

これまでの内容で理解できるように、地震発生による揺れは、吊り物機構、床機構、そして舞台関係機器などに地震力として作用することになります。したがって、地震時の舞台の安全を確保するためには、舞台空間の中で、地震力がどのような形で生じるかを理解する知識が必要です。

 

 

 

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