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ふうに言われる場合もありますけれども、要するに何を表現していきたいのかということをこちらもつかまない限り対応はできないということで、そういう部分に常に多く時間をとらせてもらっています。

そのことによって、私どもの仕事を理解してもらう。そして、こういう機材はこういう効果があるとか、こういう効果があるのならこういう使い方をしたいということを少しずつ知ってもらう。それが何年かたつと、ものすごく効果的な催しが誕生してくるのではないかと思いますし、3年半たちましたので、そういった動きが徐々に出てくるようになりました。

今、文化団体といいますか、住民との対応の場面を中心に話していますけれども、そういう形で一つずつ築くしかないのではないかと思っています。

それと、ホールにおりますと、いろいろな団体と知り合うといいますか、7,000人の町ですから、ほとんど顔見知りですが、例えば、俳句はステージを使う機会はほとんどありませんが、俳句と詩吟をつなぎ合わせる、そういうステージワークをしてみるとか、こちらから投げかけることによって、団体と団体が手を結び合っていく、そんな場面にも遭遇したり、いろいろな面で文化表現というものが誕生するようになってきております。

私どものホールは、鑑賞型から創造型まで、いろいろな事業がありますが、その中で、いろいろな技術者の方が入ってきます。私は音響担当ということだったのですが、完全な技術屋とは言えないと思います。

そういういろいろな人と対応していて一番思うことは、ぜひ皆さんも心にとめておいてほしいのですが、決して専門ばかになってほしくないということです。

要するに、常套手段ということで、専門家から見ればこれがそうだという決まりがありまして、その決まりを利用者に押しつけてしまうという傾向がかなり強かったといいますか、そういう場面が見受けられました。そこは、創造に決まりはないわけで、いろいろな場面で柔軟に受け取ってあげるということが必要です。

それと、専門用語を連発して利用者を戸惑わせるというのではなくて、理解をさせるべきです。医療界の中では、インフォームド・コンセントというか、相手に理解させて治療していくという行為があるわけですけれども、舞台技術もまさにそういうことではないかと思います。お互いの理解があって初めて成り立つわけです。

例えば進行でも、どんどん勝手に求められても、こちらは追いついていかないという場面もあるわけですから、相互理解というものを必ず前提にして進めるべきではないか。そのことによって、住民の方の理解が得られ、さらに、いろいろな場面での味方になってくれるのではないかと思っています。

この後いろいろな話があると思いますから、この辺で。

○深澤 どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、講座の講師をしていただいた先生方に、それぞれのお立場からお話を承りたいと思います。

太田先生、よろしくお願いいたします。

○太田((有)時円プランニング代表)今、助安館長から、技術者の方の押しつけとか、いろいろなものが多いという話があって、我々もきっとあるのだろうなと思っています。きのうも、専門用語をどんどん出して、受講者の方には、何を言っているのか、何のことだということで、わからない人たちがおったかもわからないですね。そこら辺で、慣れというのは本当に怖いもので、反省しなければいけませんね、大野さん。

去年も、国立劇場とか世田谷ラフォーレとか、札幌でもキタラというでっかい劇場がオープンしました。これからも、滋賀県では四面舞台とか、すごい劇場ができます。

それに反して、地域では逆な反応が出てきて、でっかいものは必要ない、機材とか機能なんかも余り必要ない、倉庫などの小さいところで、ちょっとした空間があれば演劇やバレエなどいろいろなものができるのだという動きが非常に活発になってきています。北海道でも、札幌もそうですけ

 

 

 

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