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いずれにしても、私たちの仕事は、利用者といいますか、特に町民の文化団体とか、そういったグループを中心に話をしたいと思いますが、その方たちの理解が必要です。私たちの仕事の一番の味方といいますか、応援者というのは利用者ではないだろうか。その利用者とホールスタッフがどういうふうにステージワークをしていくかということに尽きるのではないかと思います。

その中に、ボランティアとか委託とか専属職員といういろいろな場面が出てくるとは思うのですが、いずれにしても、利用者のニーズを満足させていく、その中に自分たちの技術をプラスして、さらにクリエイテイブなといいますか、創造的な仕事をしていこうということではないかと思います。

私たちは、紙一枚といいますか、人事異動でいろいろ動かされるわけですから、全く経験のない人が配置される場合もありますし、趣味で多少かじっていた人とか、そういう形の配置も中には出てくるかと思いますけれども、私も公務員生活30年で、3年半はホールの現場で動きましたが、この30年の中でこんなに楽しい仕事はなかったと思っています。今、思い出しても目に浮かぶような場面がいっぱいありました。

それは、町民の人の思いとホールのスタッフの思いが一緒になったときに、そういう共感が出るのではないかと思います。その分、仕事が大変で、時間は不規則だし、私も1年半ぐらいはホールに寝泊まりしながらやったということで、そういう面では大変苦労はあると思いますが、その苦労の結果が喜びとして返ってくる、ここを大事にしていきたいと思って、今までやってきましたので、その部分を皆さんに強要するわけではありませんけれども、ぜひ喜びを感じて仕事をしていただきたいと思います。

今日のテーマは「技術水準の確保」ということですが、技術の水準というのは、上からいろいろなレベルがあるので、キリがないとは思うのですが、特に文化団体を中心にお話をさせていただきますと、結局、初めてホールを使われる方もいますから、照明にしても音響にしても、どういう表現でどういう使い方をしていったらいいかというのがわからないという部分が多いわけですから、そこをホール技術としてサポートしていく。

私の3年何カ月の間においては、住民の方のいろいろな要望を聞いて、それに対するプラスを何か一つこちらから提供するといいますか、プレゼントするような形ということで、私たちは現場で120%という言い方をするのですけれども、要するに、100%は当たり前で、プラス20%、何をしてあげようか、そういう工夫をしようということで、スタッフの仲間で、議論といいますか、知恵を出し合っていきました。

私のところの場合は、専門職員を置けなかったということもありまして、外注ということで、随時外注という手法をとっております。スタートのときは、稼働率が50%を超えると常駐という条件で委託に出したという経緯はあるのですが、実際、幕をあけると、初年度で69%ということで、70%近い稼働率になりまして、現在もそれが続いております。しかし、専門スタッフの配置というのはまだ実現しておりません。今でも随時委託という形になっております。

ホールの管理運営から考えますと、稼働率が50%を超えていくと、専門職員を配置してもらった方が、運営とか技術面などいろいろな面でメリットの方が大きくなると私は考えているのですが、現状の自治体ホールについては、そういった予算がなかなか確保できない。先ほどお話をいただいたような工夫とか、そういった部分でカバーしていかなければならぬという現状ではないかと思います。

いずれにしても、いろいろな取りまぜをしながら運営していくのですが、確かに最近、テレビでいろいろなものを見ていますから、照明についてだってかなり過度な要求が出てきます。しかし、それは、出演者と、その求める照明が本当に合っているのかどうか。とにかく派手であればいいみたいな感じの要望があったりするのですが、そこは、利用者との話し合いや打ち合わせをしながら固めていくという形にせざを得ないかなと思って、努力はしております。

もう一つは、お任せみたいな部分が結構多いこともあります。ただ、お任せにしても、相手が何をしたいのかということを十分聞き取りたいということで、「任せたのだから、いいのだ」という

 

 

 

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