して、中標津の場合も、オープンの年に町民ミュージカルや町民合唱団というものを立ち上げました。特に町民ミュージカルは、次の年に札幌の教育文化会館で札幌公演というのも実現したわけですが、演出、脚本、技術スタッフ、いろいろな裏方さん、それらのすべてを町民だけで実施したわけですが、専門家がいなかったものですから札幌公演をやった後のレベルアップですとか、継続性ということに非常に課題を残して、今は活動が停滞しているという状況にあります。
ホールの技術スタッフについても、そういうことがあるのではないかというように考えます。やはり専門家を置いて、そこに協力していくというシステムが重要だというふうに考えます。
それで、舞台技術のスタッフですが、まず町民に知ってもらうということが重要だと思います。幾ら専門家を置いても町民に知ってもらわなければ、何をやっているのだろう、本当に必要なのかということになりますし、町民の声が町の理事者の方に上がっていかないという状況になります。
中標津の文化会館での実践について、こういうことに留意して実施していますということを発表させていただきたいと思います。
まず、活動より施設を重視する管理主義的な対応にならないように努めるということで、ホールの舞台を練習に積極的に使っていただいております。利用者に知ってもらうということで、単なる練習でも舞台を使ってもらうようにしています。
そのときに、我々もそうですが、町内の団体の方は技術部門は知らないことが多いものですから、舞台操作を委託している業者に練習でもついてもらうというようなことを実施しております。そうしますと、練習の中から、舞台技術の部分を団体を通じて町民の方に知ってもらえるということがあると思います。
それから、業者には、管理業務以外でも、特に各団体のメイン事業にはアドバイザー的な役割で積極的に協力してもらっています。団体の発表会ですとか、そういうときには、当然、自分たちでは技術スタッフを抱えていませんし、発表するノウハウもありませんので、会館の管理業者には直接的に関係ない部分ですが、その辺も含めてお願いをしていまして、その辺は業者にも十分に理解をいただいて、団体育成というような部分にも協力をしていただいております。
それから、団体育成のほかに、冬まつり、夏まつりとか、町の事業にも協力していただいており、文化会館の技術スタッフだから文化会館のことしかやらないということではなく、とにかく町の行事に参加をしてもらって、舞台技術というものはこういうものだということを広く知ってもらう努力をしていただいております。
また、その業者が本当に必要なのだというときに、やはり町民に喜んでもらうということが大切なものですから、業者には、会館の方からもいろいろお話をしまして、会館の自主事業以外のジャンルで、業者にも業者としての自主事業を展開していただいております。平成7年から、年に3本から4本ほど実施しておりますが、限られた予算の中で会館で自主事業として展開するわけですから、どうしてもできないジャンルがありますので、そういうものを会館の業者に企画して事業を展開してもらうということもしています。
以上のようなことを実践していまして、舞台係とは単に文化ホールに必要な人材ということではなくて、要するに町に必要な人材ということで、あの人が町にいないと困るのだという雰囲気にもっていくことによりまして、おのずから委託料というものも削減されないというふうに考えて、先ほど述べました四点のようなことを実践しております。
幸いにして、中標津の場合は、微増ではありますけれども、平成7年、8年、9年と厳しい財政状況の中で委託料を増額していただいているという状況にあります。町民の声が財政当局に届きまして、あの人がこれだけ頑張っているのだから、これだけ必要なのだということを、会館から訴えるよりも町民の方が訴える方が効果が非常に大きいのではないかというふうに最近特に感じております。
それから、利用者ですが、舞台係の技術や知識、あるいはその場の雰囲気というもの、団体の練習ですとか、発表会というものに業者が協力していただけることによりまして、やる気というものが出てきまして、そのやる気から団体活動が活性化しているという状況になっております。