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ましたというような何処がやってもいいようなものばっかりが資料としてあるわけです。自分のところのものが何にもないんです。

これでは何のための県立か、何のための市立か、何のための町村立なのか全くわからないんです。自分のところの資料もない。自分のところの文化も確かめてない。ただ、市町村が作った、保存会が作った文化の資料だけがおいてある。これでは文化会館の本質的な意味から遠いのではないかと思います。

そういうことをやりませんと、結局どこでもやってるような、東京と同じものをやって、東京とレベル合わせをしたとか、そんなところにとどまってしまうわけです。

私は、過疎の現実に驚きまして、そして、自分の仕事はこの消え行く日本の心というものを復活させることが、文化会館としての大きな仕事として存在するのではないかと考えました。私が熊本へ行きまして、劇場をあずかって、約1,800人収容のコンサート専用のホールと1,500人収容の花道もちゃんとつきますが、演劇ホールと2つもってるんです。これを活用して、例えば私自身が色々な音楽のマネージメントをしまして、そして新しい編成をして、そして、よそでは聴けないような音楽を聴かせるとか、あるいは、演劇をやるとかを胸に描いていました。

私の大学の卒業論文はみなさん多分お笑いになるかと思いますけども、「バレエの歴史及び舞踊理論」なんです。旧帝国大学で踊りを卒業論文にしたって人は、全帝国大学を通じて2人しかいないんです。私と例の舞踊家の邦正美さんと2人しかいません。ですから、新しいものを何か組み合わせてやってみようと、NHKがバレエ音楽をやるときはプログラムの解説をずっと書いておりました。そういう関係から新しいものをやろうかなって思っていたんです。

ところが、実際にそうやって98市町村を歩いていますと、これは違う。何のための県立であるか、何のための市立であるか。その本質にもどらなければいけないのではないかというふうに私は感じました。

行政は建物を建てたり、橋やそれから道路を作ります。それはそれなりに効果があります。しかし、それはその町の人、その村の人だけが使うわけじゃないんですね。その一方、この過疎の中で何をやっても過疎だからだめなんだといってあきらめが充満しているということも、熊本だけじゃありません。日本中の地方を歩いて知りました。

私は、地方の時代といわれておりましたから、地方にはもっと活気があるのかと思いました。行って驚いたのは、地方にはそんな活気はまるでなかったということと、地方というのがこんなに補助金によって生きているのかと思いました。これにはびっくりしました。そして、何か

 

 

 

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