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がる、また見に来ない。結局伝承されていることになってる。だから、伝承されていますねって行きますと、「先生、もう20年前からやってません。」「とても全部なんかできませんよ。5年前に1回やったきりですよ。」とか、現実がそんなもんなんです。私はこのことに本当に驚きました。

私は、放送局に居りますときから自分自身で資料を集めることに専念いたしました。自分の目で確かめない限り、他人からもらった資料は事実の半分しか物語っていない、あとの50パーセントは自分で調べるのだ、このことを私は自分のモットーとして36年間やって参りました。ですからプロデューサー、ディレクターが資料を袋一杯くれるとします。そうすると私は自分1人で同じ分量の資料を自分で集めました。そしてこれを突き合わせて番組を作って参りました。ですから、自分自身で調べる、自分の目で確かめる、そこのところが一番大切だと思いました。ところが、現実にそういった伝承芸能の一例をとりましても事実が確かめられていないんです。この上に文化行政をやっているわけです。ですから、文化行政がいっこうに捗らないのは当たり前なんです。現実にそこにないんですから。無い上に予算組んだりなんかしてるんですから。無理に無理を重ねてるわけです。

今、文化会館が必要なことは、ご自分の県なり市なり町なり村なりを職員がみんなで歩いて事実を確かめることです。自分のところにどういう文化があるかということをみなさんの目で確かめることです。

今までの既成の文書をあてにしないでください。

NHKで伝承する番組をつくっておりまして教育テレビでやっておりますが、番組を作るときにスタッフが全員で熊本まで相談にまいりました。その時に私が言ったのが、「お役所が持っている資料をあてにするな。それでやると大間違いをするぞ。村の人に一斉に反発されるぞ。町の人にせせら笑われるぞ。自分の日で確かめて、自分で体験してその上で番組を作れ。」ということをスタッフに申しました。

偶然スタッフはNHK時代に一緒に仕事をしていた連中でございました。ですから、今、文化会館がやらなければならない仕事は、自分の村や県にどういう文化があるのかということを文化会館自身がデータを作っていくことです。既成のデータに頼っているといつまでたっても同じことしかできないんです。そして、古くからそういうふうに伝わってきたものがあります。古いことができないものは新しいものもできないんです。そして次の段階として、古いものにこだわっていたら新しいものが生まれないということもあるわけです文化には。だけども、今、日本の文化会館が持っている資料が一体なんなのか。新しい劇団が来ました、外国から何か来

 

 

 

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