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ったもんですから、作家はいましたけれども、自分で劇団を率いるというようなことはなかったので、そのへんが大きい特徴だと思います。

それで小劇場演劇の全体的な特徴といいますと、対社会とか、そういったものは少なくなって、非常に個人的で私的なものになっています。テーマもかなり近未来的なものとか、いわゆる核戦争後とかそういった傾向が強くて、あるいは自分探しといったような内面に向かう、そういうふうないろんな構造が「入れこ」というんですけども、迷宮のように入り組んでいくようなそういうものが非常に増えてきます。

また、もう一つ現象でいいますと、いろんな劇団が生まれたもんですから、誰でもやろうといって劇団だといったら劇団になってましうような、それが小劇場演劇なんですけれども、直ぐに劇団ができてしまうといったようなことです。

それと同時にですね、小劇場の空間の方がニーズに応えたということもあるんですが、いくつかできています。それもやっぱりキャパシティは百五十とか百、二百とかほんとに小さい空間です。でも、そこは連日超満員になり、長いこと公演するようになり、さらにそこで人気を得ますと、先程の紀伊國屋ホールであるとか、あるいは今、東京世田谷区の下北沢が演劇の街といわれてるんですが、そこに「ザ・スズナリ」というのができます。「スズナリ」は本多一夫さんという民間の一個人がつくった劇場です。彼は、今では下北沢に劇場をいくつも持っています。本多さんはスズナリのあと少し大きいキャパシティの四百ぐらいの本多劇場をつくります。

そういったようなわけで、もともと学生だった人たちがそのまま役者、演出家のほとんどプ口になってしまう、といったような現象がこの時代におこってきます。それとまた同じころ、いろんな企業が文化を盛り上げよう、貢献しようということで、いろんなところに劇場をつくります。その前には例えば「夢の遊眠社」など人気のある劇団に大スポンサーがつくというふうなこともありました。

それで、興行会社の松竹とか東宝とか、そういったところはもともと劇場を自分のところで持っていたんですけれども、そうではない興行を主たる目的としてない大きい企業が劇場をつくるようになります。例えば西武のグループでいいますと、その前に「パルコ劇場」はありましたが、銀座に「セゾン劇場」をつくります。それから少し後に東急グループが「東急文化村」をつくります。これは音楽のホールが「オーチャードホール」といいまして、演劇関係は「シアターコクーン」といいます。後には、映画館、美術館もできまして総合的な文化施設をつくるようになります。

 

 

 

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