れで一つの壮大な、大河ドラマではありませんが、その企画の壮大な物語ができると思います。商業劇場がやろうとしてもできないことが、こういう先行きの物語展開のようなものなのです。商業劇場はすぐ決まったものを売るという、即応するという宿命がありますから、なかなかこういう企画案みたいなものをオープンにする発想はないんです。
少なくとも新国立劇場ができて、一つのシーズンプログラムというのが、活字になって出てくるようになりましたから、そういう意味で皆さんが手を組んで、これから向こう3年間に、こういうミュージカルを1本ずつやっていくんだ、あるいはこういう芝居を1本ずつやっていくんだと、こういうふうなプロジェクトをお作りになると、一つのストーリー性のある企画の展開という、新しい今まで我々商業劇場が出来なかった一つの顔が出てくるのではないかと思います。
ぜひネットワークというものを前向きに考えていただきたいと思います。もちろん誰かが音頭取りになる、誰かがこの指止まれという、その発案者がいなくてはいけないかと思いますが、そういう人達が何人か集まったら、そういう人達で実行委員会を作ってやる。もっと冒険を申し上げれば、東京公演は実行委員会が手打ちをする。日本の場合、東京で上演をしないとベストテンなり、読売演劇大賞なりいろんなそういう賞の選考には入りませんので、東京でワンステージでも日の目を見させるために、実行委員会が東京公演だけは手打ちをする。そういうことをされると、せっかく立ち上がった地方のすばらしいホールが、あるいは地元にたくさんいらっしゃる、あるいはこれから生まれる観客が、地元のホールをまず見直すのではないかと思うわけです。
地元、地元って言うのはなにも皆さんのご機嫌とりで言っているわけではないんで、例えば我が宝塚っていうのはリゾートで遊園地ですから、遊園地のアトラクションとして宝塚歌劇団が始まり、今やもう独立独歩で大ミュージカル、いわゆるショウ・ビジネスの大集団です。今度も1つ組が増えて5組になりましたけれども、香港からその新しい組が昨日帰ってきたばかりです。その宝塚ですら地方からわざわざ宝塚へ夏休みに見に来た女の子達、あるいはそういう人達によって支えられているからこそ、東京と大阪で満員になる。もちろん時たま地方公演がありますけども、地方公演というのは、大階段を持って回れるわけではありませんし、オケを連れて回れるわけではありませんし、装置もメンバーも六割程度のもので行ってるわけです。でも大劇場へ来れば、あるいは東京へ来れば、100%の宝塚が見られるということで、皆さんわざわざ東京へ来られるようになるわけですから、そういう意味で地方公演の重要性ってのはあるわけです。まあそれはちょっと極端な例かもわかりません。
是非そういう積極的なネットワーク、一つのものを買って来る、ただ一緒になって買われるというものじゃなくて、ネットワークから何かをプロデュースするという、そういう時代。それがいわゆる、無目的ホールと言われたホールが多目的ホールになる、一つのきっかけになるんではないか、という思いで一杯ですのでそれを最後にしめくくりたいと思います。どうもご静聴有り難うございました。
司会 山下先生有り難うございました。ここで少し休憩いたします。次の講演は4時5分から始めますので、遅れないようご着席をお願いします。