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大きく言って二つ、ホール利用上のルールの問題と、ホール運営上の担当者の問題というふうに別れると思います。ルールの問題というのは、一口で言いますと、やはりお役所だなあというところがあって、東京でオペラをやる時ある館は9時に終わって9時半に撤収しなければならないんです。ところが、オペラというのはとても長いんです。3時間半から4時間かかる。そうしますと、9時半にどうしても終わらない。そうすると、もうずっと何年にも亘ってのことだそうですが、「もうしません」という詫び状を書かされるわけです。子供みたいに「もうしません」といって、又次の日もやっているわけですから、最初から印刷した方が早いんじゃないかというほどお詫びの書類をお届けしている。これは、むしろホールの方がその規則を変えていただく以外にないなと思っているんですが、こういった事が非常に多いんです。

色々申し上げると、きりがありません。ただ、こういうところで外国の例を出すのも卑怯みたいに見えますが、アメリカなんかではユニオンという組合が強くて、そのユニオンの了解なしには基本的な問題は何一つ解決しないというふうな状況があります。実はこの演奏会場や、オペラ劇場の組合というのはどんなに遅くなっても最後まで全部仕事をするんです。何でそんなに徹夜をしてでも仕事をするのか、どうしてそういうことができるんだ、どういう話し合いをやったんだと聞きますと「俺たちは文化芸術の仕事をしている。文化芸術というのは、市民が、いや普通の人間が休んでいる時に、我々は働かなければいけないという仕事の種類なんだからこれは仕方がない。」そのかわり頂くべきものは頂くし交渉はする。だから演奏する人達、それから観客の人達に徹底した奉仕をする姿勢というのがあるんですね。

ちょっと時間外にピアノを練習したいというと、いや、ちょっと許可を取って来てくれとなります。許可書がないと鍵が開けられないとかいうようなことじゃなくて、芸術文化の為に仕事をする、奉仕をするという考え方が非常にアメリカでは強い。ヨーロッパはもちろん歴史的にそういうふうになっておりますが。日本は個々の施設で事情が違うと思いますが、お互いに解決しなければいけない問題が沢山あると思います。オペラ、バレエ、オーケストラとかというのは、3年ぐらい前から交渉を始めているんです。そうすると、ホールが取れるか取れないかは、ある程度予測をしてえいやっちゃえ、ということでないとスケジュールの見当がつかないということもあるわけです。こういうような問題とか、いわゆるお役所仕事ではない、マネージメントを是非お願いしたい。

もう一つ非常に大きい問題は人事の問題なんです。ちょっと慣れてくると異動があるという事は芸術文化のマネージメントにとってマイナスになっている。それをどういうふうにするかは自治体や、国の問題ですけれども、もっと息長くやれる専門的な人が必要ではないだろうか。

 

 

 

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