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幕を付けたいと要求をした。ところが、メトロポリタンオペラの人達はとんでもないと。最高のアーチストが舞台で一生懸命皆の為に歌っているのに、目はその人を見ないでその字幕の方にいっちゃうんじゃ意味がないと。筋書きとかセリフは最初から勉強してくるべきだと。字幕を絶対認めることは出来ないというふうに言われました。しかし、私達も日本の観客もどうしても字幕が必要だということを主張して、最後には字幕を認めてくれないんだったらもうやらない、というところまでいき、じゃあまあ許そうということで字幕をつけました。皆さんご存知かもわかりませんが、一時オペラブームという言葉が始まったぐらい観客が急に増えたんです。そして、その人達が笑うべきところで笑い、泣くべきところで目に涙をためてオペラを見ましたら、メトロポリタンオペラはわかったんですね、反応で。なるほど、日本人の観客を知っているのは俺たちだと君は大きなことを言っていたけど、わかったと。確かにそうだと。それは良かったと言っておりましたら、なんと2年くらい前に、メトロポリタンオペラが字幕を付けだしました。アメリカ的に大きく出すんじゃなくて、前の椅子の後ろにくっつけまして、イタリア語を英語で見たりということが出来るような字幕の装置をつけました。私はその時に、メトロポリタンオペラの幹部の人に、何年前かあなた方はこんなものを付ける必要はない、そんな勉強不足な人に見てもらう必要はない、と言ってた人がどうしたんだって聞きましたら、それは言うなと言っておりました。地域の人のことは自分が一番良く知っている。そして、この値段でこういう音楽を聞かせたいという考え方なりポリシーなりをきちっと持つことが、非常に重要ではないかと考えております。

日本の演奏会は高いと言われているんですが、これは私達の悩みでもあります。それはこの国と、いや国っていうか、社会の演奏会に対する姿勢に大きく関わってくると思っております。なぜ申し上げるかと言いますと、私達が今ぶつかっている東京都の文化施設の使用料の値上げ問題、後ほどご紹介致しますが、それが大きく関わっています。ヨーロッパとアメリカでは、文化支援の形がかなり違っており、ヨーロッパは歴史的に国とか州とか町がお金を出しています。オペラなんかですと、80%ぐらいがその公的資金で補助されるわけです。ですから、あのウィーンのシュターツ,オパーとか見て、1万円以下であんなすごい演奏会が見られると皆びっくりして、日本ではなんで高いんだというふうに言われますが、ヨーロッパはこういう支援の仕方をしております。

アメリカはそういうヨーロッパのような伝統がありません。そして、最初にヨーロッパの真似をしょうとした町は、みんな大批判を受けたんです。アメリカでクラシック音楽やオペラなんかを見るのは少数じゃないかと。少数な人間にそんな大きな予算を使うというのは不公平で

 

 

 

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