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れて忙しい毎日を送っています。

「芸は身を助ける」とはこのことだと思いました。

いま三十五年間の書暦を振り返って見たとき一つの趣味が私の老後の力強い心の支えとなっていることは確かです。

皆さん、私たちには、避けることの出来ない体の老いは必ず来るものです。しかし趣味を心の支えとして、人と人とのフレアイを大事にしながら、何時も若々しく爽やかに元気で精一杯今日と言う日に生きようではありませんか。

ご静聴有り難うございました。

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ユニーク賞

小見山藤子

73歳 山口県阿武郡須佐町

テーマ

今、自分が社会に対して出来ること

サブテーマ

虚弱老人とのかかわり

虚弱老人とのかかわりについてふれたいと思います。

高齢化・老人という言葉を毎日聞くこの頃です。幸いにも私は健康に支障がありませんので、今、町の高齢者保健福祉施設でデイサービスや、在宅介護の仕事を手伝っています。その中で多くの老人からいろいろなことを学ぶことが多いようです。特に百歳前後の方からは戦中、戦後にかけての苦しかった時代のこと、明治から大正の村の様子などは手にとるように想像されるようなお話を聞きます。

高齢化社会となり老人性痴呆症の方が多くなるのは止むを得ません。でもその方たちと話している際に、非常に品位ある正確な言葉が返ってきて、私の方が恥ずかしくなる事もあります。私は痴呆という言葉を安易に使うのは元気な者の傲慢さではなかろうかといつも疑っています。

老人に結びつけられる症状に失禁があります。失禁は老齢化、または病弱な人にとっては、誰でも結びつけたがるものですが、最近は病院や老人施設、家庭にあっても紙おむつやカテーテルを使用します。老化や病弱の人イコール失禁と考えがちですが、正常の老化では失禁は生じないと聞いています。それは看護や介護する側の都合で、本人の意志にかかわりなく使用されている場合が多いようです。でもそのおむつやカテーテルを廃止し家庭で定期的に排尿を促し手をかけることは家族にとって大へんな作業です。そのためには入院中も病気の軽快に伴いできるだけ自分から訴えられる様に習慣づけ、リハビリに励んで欲しいと考えます。

老人が外出を嫌がる原因の第一に排泄の不安があります。私は仕事でかかわる人やその家族に、どのような人にでも排泄は生きてゆく上で最も大切な根本的、生理的な重要な問題であることを説きながら、どこでも喜んで手を差しのべるよう心がけています。

次に今では死場所は病院という考えが当然のようです。誰もいつか迎える死を住みなれた家ではいけないのでしょうか。私の知っている大部分の人は最後は家で迎えたいと話しています。その思いを叶えられるように手助けするのが福祉ではないでしょうか。

先日、町内の中学生四人がデイサービスの現場を学習しました。入浴や食事の介助、トイレへの案内などを体験した後「大へんな事だったけれど、将来目的としている介護の仕事に益々意欲を感じましたしという頼もしい感想を残してくれました。この中学生や私と同じ職場の青年たちを見ている限り介護に暗さは全く見られません。

高齢化は医療や福祉、教育、経済それは政治、社

 

 

 

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