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と何と五十五倍の八、四九一人の素晴らしい長寿国となりました。

私たち高齢者の平均寿命も伸びました。男性が七七歳、女性が八四歳ですね。

現在四〇歳の方が生まれた頃までは「人生わずか五十年の時代」でしたが、今では人生八十年の時代になりました。

定年前の皆さん、そして定年後の皆さん、或いは子育ての終わったお母さん方にお話し申しあげたいが、これから八〇歳或いは九〇歳までの使いきれない程の余暇をどう過ごそうか、何をやってどういうふうに生きようかと、思っている方もいると思います。新聞の求人広告を見ても六〇歳以上の求人広告は殆ど見当たりませんね。私たち高齢者には働く場所が無くなって来ているのです。

私たち高齢者にとってはこれから、もっと厳しい時代が来るように思われてなりません。

その厳しい時代のなかを、老後を安心して楽しい毎日を送る為には、何としても自分の好きな趣味を見つけること、そして育てること、根をシッカリ張らせること、それを自分の物として生き甲斐とすることが、ただ、一つの方法ではないかと思うのです。

全く趣味のなかった私が趣味として書道の道を選んだのは三十五年前の四〇歳の時で、その頃はただいまのように老後とか趣味とか生き甲斐と言った言葉は殆ど耳にしたことの無い時代でした。

私は県庁職員という仕事の中で僅かな暇を作ってはコツコツと「四十の手習い」を続けているうちに「定年後はこれで行こう」と言う夢のような目標が何んなく浮かんで来ました。

それから十五年間のなかには何度となく「辞めてしまうか」という挫折感に悩まされたこともありました。

やがて目標としていた東京板橋区の書道の世界では資格試験の難しいとされている日本教育書道連盟の「公認教授」の資格試験に数回挑戦してやっと取得したのが五十五歳の時でした。

定年と同時に書道会を設立して十五年になりますが、小中高生から学校の先生、主婦の方、定年後の男性など、百余名のいろいろな世代の門下生に囲ま

 

 

 

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