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り」を掘り起こし、さらにそれを追伸、充実していただいたりということであります。往時の日本を偲べば、国全体が想像を絶する貧乏な時があったようですが、その日本が今日、世界に誇る高度な文化国家を建設したのは何故でしようか。それにはいろいろ理由や条件があったと思いますが、私は、隣組単位の生活様式の中で、お互いが慰め合い、励まし合い、いたわり合い、力を尽くして皆がその難関を乗り切った、たくましい奉仕の精神の健在を高く高く評価するのであります。我が国三千年の歴史の中で連綿として今日まで伝わっているこの「奉仕の心得」これは日本人の誇りであり、日本の誇りであり、日本の宝であります。近時外国の方々から、二十一世紀はまさに日本の世紀であるとして、我が国に高い信頼と大きな期待を寄せておりますが、この時、その信頼にこたえ、世界平和に貢献するには、国民全体が奉仕の精神を正しく理解して実践し、その担い手として若者に託し、この輝かしい言動をさらに後世に受け継いでいただくならば、日本国民の幸せは、さらにさらに豊かになることが約束されましよう。

また多少年月はかかるかも知れませんが、世界平和に貢献できる素晴らしい日本国の発展も約束されると私は思います。私は人生の最後の最後まで、母ちゃんの教えを守って、強く正しく生きていきます。「奉仕は人生の家賃なり」の実践をさらに重ねて、高く高く願望するものであります。天国の母ちゃん。いつまでも見守ってください。ありがとうございました。

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ほのぼの賞

鈴木玉喜

63歳 福島県双葉郡富岡町

テーマ

今、自分が社会に対して出来ること

サブテーマ

一隅だけでも照らしたい

健康な皆さま方は、障害者、イコール駄目人間みたいな気持ちを、大なり小なりお持ちではないでしょうか。そういう私も、かつての健康なあの日々を、自分では意識しませんでしたけれども、大変傲慢に生きていたように思います。 一週間に二・三回はテニスに興じていた私が、ある日突然というように健康を失い、約半年間の寝たきり同然の生活を、止むなくせざるを得ない状態になりました。発熱・痛みに脱力感。病名は膠原病で、 一時は、箸もコーヒーカップも持てない日が続き、生きる希望を失った時もありました。

そんな時期のある日、見舞いに来てくれたともだちから「貴女、身体はそんなでも声は出るんでしょ。」と歌うことを勧められました。この「声があるでしょ」の一言が、もう駄目だと、あきらめかけていた私を甦らせてくれたのです。コーラスのグループに入って思いっきり歌い、そして同じく声を使って、日の見えない方々のために、朗読ボランティアを始めました。現在、四つの町の広報と単行本を、あれから七年近くも、来る日も、来る日も、マイクの前に座って朗読に励んでおります。 一言に朗読ボランティアと申しますが、この仕事は、大変孤独で根気のいる仕事なのです。広報の朗読という、時期を逃したら全然価値のなくなるものも有りますので、月の始めはいつも、息つく暇もないくらい、マイクの前に座ります。そして、生活苦が入らないように、どんなに暑い夏でも、びっしり閉めきった小さな部屋の中で、ただし、声は爽やかに朗読するのです。

大きな市や町には、朗読ボランティアを心がける方達が、大勢いられるようですが、私の住む東北の片田舎には、三年前迄は、二つの郡に私一人でした。初めて広報を頼まれて届けた時、「嬉しくて涙が出ちゃった。」と言われ、こんな身体の私にでも、人の役に立つことが出来るのだと、気付かされたのです。この一人から始まって、現在利用して下さる方も三十名に迄ふくれあがり、嬉しい悲鳴をあげながら、テープに入れてお届けしております。このように、朗読の依頼が私のもとに集中する理由は、 一つには、私が健常者でないという気安さがあるのかも知れません。そして第二に、読みは下手でも、読んであげるのではなく「読ませていただいている。」

 

 

 

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