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と思います。当施設でも高齢で倒れた妻を高齢の夫が度々面会に来て、その結果、めきめきよくなったという例がございます。また、痴呆で入所している姑を毎日のように訪問して「今ではもう私の名前もわからなくなったが私が行くとにっこり笑ってくれる。その顔を見るのがうれしい」とお嫁さん。本人にとってはお嫁さんこそが生き甲斐なんでしょう。

現在、国の段階では介護保険法を審議中で、介護の社会化が一層進められようとしています。また厚生省は在宅介護を積極的に進めております。しかし、私は何が何でも在宅介護であればいいとは思いません。家にいても十分な介護がなされず放置されたり、中には高齢者に虐待の例もなしとはしません。正しいリハビリや十分な介護は施設が一番でしょう。要は在宅であれ、施設であれ高齢者自身が精神的に満足できる状態にもっていきたいのです。高齢者に生き甲斐を与えたいのです。それができるのは家族が一番だと思います。したがってできるだけ家におりたい高齢者の心情を察して、可能な限りの福祉サービスを受けて在宅介護に全力を尽くした後、施設を考えるのが順序ではないでしょうか。介護の問題は、家族のあり方と密接な関係があります。いかにして高齢者と若い世代の連繁を図るか。難しい問題ではありますが、日本型福祉を目指して高齢者介護の問題をどうしたらいいのか。若い世代にぜひお願いしたいものです。この道は全ての人が通る道だからです。

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熱弁賞

畠山久仁代

63歳 大阪府大阪挟山市

テーマ

今、自分が社会に対して出来ること

サブテーマ

「落ち穂ひろいの行脚の旅」を求めて

「もしもし…」聞き取りにくい遠慮がちな声。時には涙声から始まります。「もしもし…」興奮気味

 

 

 

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