熱弁賞
加藤英生
70歳 三重県桑名市
テーマ
若い世代に託したいこと
サブテーマ
高齢者の介護
高齢者社会の到来は足早にやって参ります。高齢者になれば、寝たきりや痴呆のように、介護を要する人が増えるのは当然であります。これは避けては通れない問題だと思います。私は高齢者の介護の問題、益々深刻になるこの問題を若い世代に真剣に考えてもらいたいと思います。この問題を私が勤務する老人保健施設の相談の状況から考えてみたいと思います。高齢者世帯で、夫が倒れると妻が介護にあたる。妻が介護疲れで倒れそうになると夫を施設へ送る。また、独居の高齢者が倒れると、面倒を見るものが居ないということで、施設入りを希望して参ります。これらの相談に来るのは、たいてい娘や息子の妻が多いのですが、こんなとき、家族の誰かがお世話できませんかと聞くと、勤務先が遠い、部屋がございません、今更一緒に住み難い等の返事が返ってきます。また、同居している高齢者が急に倒れたけれども、子供夫婦は共働きで介護ができないといって、入所を希望してまいります。以前はこんな時、家族の誰かが仕事をやめて、介護にあたるということが真剣に議論されたと思います。しかし、最近では、勤めは自分の生き甲斐だということで仕事を辞める訳にはいかないとの考え方が多くなってきております。これらは、施設の入所相談からみたごく一部の現象かも知れませんが、核家族化は進行して行くでしょう。何かこれからの日本の高齢者介護の行方を暗示しているように思えてなりません。高齢者の介護には、身体的な面と、精神的な面があると思いますが、とりわけ精神的な面が重要であり、機能回復にも気の持ち方は大きな影響を与えるもの