原先生はいかがお考えでしょうか。
【原】 保健、医療、福祉の連携の重要性は随分以前からいわれているのですが、実際の現場では、どのようなことが連携になるのか、目に見えるものとしてお互いに理解できていないと思います。
たとえば、ある人がデイケアやショートステイ、あるいは、ヘルパーや訪問看護ステーションのケアを受けているとします。その場合、何曜日にだれがケアにあたっているかはお互いに理解できるようになってきましたが、具体的にどのような症状であったのかについては、はっきりとした連絡は取られていないと思います。病院内では、日常的な業務のなかで連絡あるいは連携が自然に行われるのですが、在宅では難しいというのが現状ではないでしょうか。
これからは、お互いのよい面をお互いに情報交換することが大切です。つまり、施設医療における正確な状況把握の連携という面を在宅に持ち込み、療養者の生活を重視する在宅のよい面を施設医療に反映させることが重要だと思います。施設、在宅を別々なものとしてとらえるのではなく、それぞれのよい点をお互いに教え合いながら進め、具体的に目に見える形で連携しない限り、充実したケアの実現は難しいという気がしています。
【紀伊國】 そのとおりだと思います。これは、以前、この高齢者ケア国際シンポジウムに参加されたこともあるベック・フリース先生の「ホスピタルベースドホームケア」という考え方にもつながるものと思います。
連携ということでいえば、たとえば、病院から特別養護老人ホームや老人保健施設に移ったときに、病院での具体的な症状や事柄を連携していくという継続性の保障が非常に必要であると思います。そのためには、いま、情報システムがコンピュータを中心に発達しているわけですから、それをもっと活用すべきではないでしょうか。バレット先生はどのようにお考えですか。
【バレット】 アメリカで使われている情報システム、ミニマムデータセットについて午前中の発表でもお話ししましたが、情報収集手段は、ケアの連携には積極的にかかわっていかなければなりません。情報として、どこが足りないのか、どこで情報がとぎれているのかを把握する必要があると思います。
【紀伊國】 ミニマムデータセットは、アメリカのボストンにあるヘブリューリハビリテーションセンターというナーシングホームで開発されたものです。時間的な経過をたどりながら、どのように症状が変化しているのかを見極めるもので、こういった共通データをお互いにもつことが、連携を可能にする1つの重要な武器になるのではないでしょうか。
それでは、グループホームの問題に話題を移したいと思います。
ケアを取り巻く状況としては、やはり在宅ケアを希望する方が大変多いと思います。それには、当然、あらゆるサポートが社会のなかで行われなければならないのです。また、そのために介護保険の導入も考えられるわけですが、どうしても施設ケアが必要になる時期がくることも事実です。
先ほどバレット先生は、お母様が90歳のときにどうしても施設に入らなければならない状況について話されました。その施設の1つとしてグループホームが考えられるのです。グループホームは、スウェーデンのベック・フリース先生などの提唱で始まった施設です。
ところで、グループホームの問題点として、痴呆の人と痴呆でない高齢者を合わせてケアしてもよいのかという点があります。また混合した場合、高齢者たちがお互いに助け合