【紀伊國】 グループホームは規模としてどの程度であるのがよいのか、また、グループホームのなかでは、入所者の痴呆の具合は同一程度がよいのか、あるいはどのような組み合わせのケアがよいのかという問題提起をされたわけですが、稲庭先生、ルンドストロョーム先生の経験を通してのお答えをお聞きしたいと思います。
【稲庭】 私は、痴呆の方と痴呆でない方を混合してケアにあたることには、問題はないと思います。なかにはどうしても互いに相容れない場合もあるでしょうが、痴呆でない人でも、痴呆の方とともに暮らすことをよしとする方もいるわけです。結局、人生のなかでいろいろな人を受け入れて生きてきた方というのは、痴呆になっても、痴呆でなくても、その後の人生を互いに相容れながら生活していけるというのが私の基本的な考えです。そういう意味から、混合したケアには別に問題はないと思います。ただ、なかには「痴呆の人とはどうしても生活できない」と、頑固に断る人もいることは事実です。そういう人には、痴呆の人と分けたケアを行えばよいわけで、そのあたりの融通性は当然あってしかるべきだと思っています。
また、痴呆のレベルを合わせてケアすることは、確かにケアする側にとっては対処しやすくなるものですが、この問題についても私は、レベルを合わせても合わせなくても、いくらでも可能だと思います。次に、規模に関しての問題ですが、人数としては、友達としてつきあっていける人数、9人以内が適当ではないかと考えています。ただし、痴呆が進むに従って、この人数は少なくなります。
すでにできている特養や老健では、なかの人たちをグルーピングして、介護にあたる人にとってケアしやすく、また利用者にとって納得いくようなグルーピングが考えられるべきであると思います。
【ルンドストロョーム】 たとえば、私が痴呆になり、サービスハウスで痴呆でない人とともに暮らしたとしたら、その人はいらいらするでしょう。また、スタッフの人が私のことをいつも監視しているような状態になってしまえば、私もハッピーではないと思います。しかし、私と同じぐらいの痴呆の人と暮らすのであれば、手を取り合って仲よくできるかもしれません。
つまり、24時間、共に暮らしていかなければならないわけですから、グループホームに住んでいて、お互いに怒鳴り合うような状態になると、やがて手に負えない事態が発生するのではないかと思うのです。そこで、いつも怒っていて、ほかの人とつきあえないような人たちは、別な小規模のグループホームに半年ぐらい入ってもらう方法が考えられてもよいのではないかと思います。
それから適正規模については、私も10名以下だと思います。病状が悪化した場合にはナーシングホームに入ったほうがよいようなこともあるかと思いますが、それは個々の状況によって違うものですし、一生そこで全員が過ごすというわけでもないと思います。ただ、グループの多くの人がナーシングホームのベッドに寝ていて、残りの2、3人がいつも走り回っているような状態はあまりよくないので、数を具体的に固定してはいけないと考えています。
【バレット】 痴呆レベルを一緒にすべきか否かということは、アメリカのスペシャルケアユニット(SCU)に関する調査でも検討した項目の1つで、これは繰り返し出てくる問題でもあります。
たとえば、同じようなかなり重度の痴呆症患者が一緒にいる場合、だれかが「私はどこ