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可動式の痴呆症教育のためのバン

 

PGUの資金は、施設ケア用に安全な場所や徘徊用の道をつくったり、スタッフの教育プログラムを行うためにも使われています。また、可動式の痴呆症教育のためのバンも設け、施設を回ることでスタッフの役に立てようとしています。バンのなかには書籍、参考資料、ビデオ、リハビリ器具などが積まれ、現在、痴呆症管理を行うスタッフに指示を与える対話型のコンピュータ・プログラムを開発中です。もう1つのサービスは、徘徊の危険のある患者が着用するペンダントを用いた地域単位の追跡管理システムです。

 

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ペンダントを用いた地域単位の追跡管理システム

 

現在の動き

 

それでは、オーストラリアの高齢者ケア政策における最近の2つの発展と実践について簡単に概略を説明したいと思います。

この12年間に、地域社会高齢者ケアサービスは、数のうえでも種類のうえでも急増しましたが、決して問題がなかったわけではありません。最も大きな問題の1つは、複数の組織がケアの提供に参加し、また、高齢者ケアの責任が政府の3つのレベル(連邦、州、地方政府)にまたがるため、分断が生じてしまったということです。痴呆症のような複雑なケアニーズを抱えた人々に対するサービスを調整しようとする多くの試みがまもなく行われることになっています。

イラワレ地域は、地域社会サービス部門だけでなく、プライマリー・ヘルスや病院ケア、薬の使用にいたるケア全般の調整を目的としたトライアル対象地域の1つになる可能性があります。トライアルの重要な特色は、すべてのサービス・タイプに対する共同資金をプールし、ケアコーディネータを任命し、イントラネットにより情報技術を活用することでサービス提供者を結びつけることにあります。

政権交代により、さらなる高齢者ケア改革がみられ、近々導入されることになっています。政府の新しい戦略の目的は、単一の施設入居者分類により資金供給を行い、老人ホームとホステルの差を縮小することにあります。これにより、患者は、ケアニーズが大きくなりすぎたときには、ホステルから老人ホームへ移動させられるが、「1か所で加齢」することができるようになるなど、融通性が増すことが期待されています。また、新しい法律は、資金的に余裕のある人々には、施設債権を購入することができる「利用者支払い」システムを導入しています。債権は、高齢者ケア施設に対する元本資金を提供することになります。老人ホームに対する資金は、従来、政府の補助金によりまかなわれていました。これらの提案に対する変更は、地域社会によりさまざまな受け取られ方をしています。

 

最後に、皆さまの高齢者対策が成功されますことを祈っています。

ありがとうございました。

 

 

 

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