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■ 発表 ■

 

グループホームケアのすすめ

日本の地域性に根差したものを考える

 

医療法人 久幸会理事長、今村病院院長

稲庭 千弥子

 

はじめに

 

医療法人久幸会ではこの数年来痴呆対応のグループホームに取り組んでいます。現在残っている3つのグループホームのなかで、第1号としてスタートしたグループホーム“もみの木の家”は、平成5年11月に運営開始して約4年になります。また、最も新しいのは平成9年7月1日に町中心部に新設したグループホーム“あじさいの家”です。この痴呆対応のグループホームについては、知的障害者1989年、精神障害者1992年に引き続き1997年4月には“痴呆対応型老人共同生活援助事業”として国の施策となっています。

 

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図1 医療法人 久幸会の地域図

 

グループホーム“もみの木の家”“トマト荘D号”“あじさいの家”の成り立ち

 

当会は秋田市下新城から追分地域に医療福祉を根ざしています(図1)。単科の個人精神病院であった今村病院が医療法人に運営機構を変えるとともに、地域の要望に答える形で託老所(日中預り)を始めたのが昭和58年でした。同時期に“老年精神科病棟”を区分けし、さらにショートステイを試みました。これらの経験から、?@老人リハビリ施設の必要性→平成元年老人保健施設ニコニコ苑開設、?A痴呆専門病棟の必要性→同じく平成元年今村病院に50床の痴呆治療病棟を開設、?Bデイケアの必要性→痴呆病棟とニコニコ苑に付設、などが生まれています。しかし、これらも年月とともにいくつか問題点が出てきました。

1) 高齢者のリハビリは特に超高齢者において、合併症が複数あるいは重篤であるほどに維持が主体となり家庭復帰が困難になります。痴呆も同様に家庭復帰が困難です。

2) 痴呆疾患に関しては、より専門性を高めて診療ケアしていくほどに、問題行動を改善できるようになります。つまり痴呆病棟を必要とするのは、ごく一時であるとともに長期に入院を必要とするのはごく一部であるということです。

3) 痴呆疾患のリハビリテーションにおいて現在の大規模ケアには限界があります。生活リハビリをしやすく集

 

 

 

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