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おられます。出されている商品がラジオとか、昔はラジオもステレオも家電商品も扱っていたんですが、操作の仕方が分からないので、教えて下さい言うんですが、普通のお店ですと、これはこの様に使うとか親切に教えますよね。タオル等もいろいろなタオルのサイズが書いてありますね。お客さんに表にサイズが書いてあるでしょ、それを見て引っ張り出さないでくださいと言うんです。引っ張り出すと、元にしまってくれないんですね。私のところのリサイクルショップは、販売を行っていても1点しか商品がないですよね。お客さんが5点も6点も持ってきて売るわけじゃないです。お客さんの1品限りを売るわけですから、もう展示を壊されますと売れなくなる。だから元のようにたたまなければいけないとか、いろいろな手間がかかるので表に書いてあるからそれを見て広げないで下さいとか、バギーの使い方分からなかったら買わないで下さい。ラジオの操作が分からなかったら、「あなたこれ買ってきて今日から毎日使うんですよ。スイッチどこにあるか分かりますか」と聞くんですよ。「お客さん、スイッチ入れてみて下さい」「分かりません」「分からなかったら買うのやめてください」。そうでしょ、ここで売って説明して分かって持って帰ってもらって、お客さんがまた持ってくるんです。「このラジオ昨日買ったんだけど、鳴りません」。鳴らないのは当たり前で、電池は入っていないんですからね。そんなことが日常茶飯事です。

私は、おもちゃの病院をやっていまして一番多いのが電池がないことです。これは電池がないのではなく電池の中味がないんですね。ですから、家電商品とかいろいろな物がありますが、本当に電池切れが多い。また蛍光燈が切れて、パカパカしているものがよくありますよね。あれ本当はグローランプが悪いのではなくて、蛍光燈そのものがだめなんですね。だから、蛍光燈を自分の家で取り替えられますか。もう少し最後の最後までばかになるまでほっておこうか、そんなふうに考えてなかなか電球も取り替えない。またステレオが鳴らなくなった。どうしたんだろう。電気屋さんちょっと来て下さい。で、早速伺いましたら、昨日大掃除した時に後ろのコンセントが抜けてましたとか。そういう物を使う時には、基本的な知識が必要なわけですね。たとえば包丁を使う時には、まな板がなければ料理できませんね。それと同じように、以前、家電商品を売っていた時に、使い方がわからないというふうなことで言ってくるお客さんには、できるだけ売らないという形でショップもやってるんですよ。

昔の話ですが、私、仕事で阿蘇の火山研に行っていたことがあるんですが、そこに大学院生が論文を書きに来てたんです。学生と一緒に生活していた時、君りんご剥いてくれよと、りんご剥かしたんですよ。そうするとりんごをこの様に持って、包丁をこの様に持ってこうやって皮を剥くんですね。もうこれはすごくびっくりしましたね。21歳ぐらいですか。やはり、生活していくうえで今は危ないから刃物を持たせないようにしょうとかいろいろなことがあるんですが、怪我をしてはじめてその刃物の使い方が分かると思うんですよ。痛い思いをしないとわからない。だから私は、やはり家庭の中でも、怪我をするとか危険な道具をどんどん使っていく。そういうことがものすごく必要なのではないかと思うんです。

工房ということで何かをやる時には、まず、鋏、糊、その様な道具は必ず必要です。何かを造形する様なものですから。またカッターナイフも必要なんですね。そのカッターナイフを使う工作教室をやると、子供、小学生向けには、危険だからカッターナイフを使わなくても良いような工作教室をやろうとか。その様なことを役所の方で時々言われるのですが、私は反対です。やはり、刃物を使って、少しぐらい危険でも、危険なものに挑戦していくということが、工房のいろいろな役割ではないか、工房では危険の程度を教える程度のものであって、それを体験させるような役割というのも、工房の一つの役割として必要なのではないかとの持論を思っております。

 

三輪:ありがとうございました。かなり買いに行くと厳しくお叱りみたいで(笑)。でも、きっと私たち消費者として、ほんとうに至れり尽くせりの状態にあって、自分の能力のすべてを捨て去っていってるのに気付かないでいる状態なのかなって、恐ろしくなりましたね。

 

 

 

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