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というのは決して不買運動じゃないのです。私は『選択的購買である』といったのですが、つまり『選ぶんである』。もう一つもっといいのは、元々の”Green Consumer”の運動の中にあるのですが、『買い物は投票である。』という言葉。つまり、何を買うかによって、あるスーパーを選んでいる。またある製品を選ぶことによってあるメーカーを選ぶことになります。それは投票行為なんです。その投票行為は毎日できますから、どこのお店、どこのメーカーを支持しているかを決めることになってしまう。その時に、我々は日ごろ環境のことを言っていても、つい品物を選ぶ時にそこまで考えていなかったかもしれないですね。例えば、びんビールをやめて缶ビールを推し進めていこうという企業のビールを飲むということは、結局缶ビールをすすめていくことになってしまいます。なるべくなら、多少でもびんビールの方に重きをおきたいなと思っているほうのびんビールを買うことのほうが、その企業を支持することになるので、結果として我々の利益になる。

簡単に言いますと、そういうことになります。そういうふうな考え方が必要ではないかと思います。もう一つは、もしかしたら環境に対していい取り組みをしてくれるスーパーにとってはプラスになる。つまり、そういうところで物を買いましょうと言っているわけです。そういうところが良くとれば、我々のガイドは、応援のガイドになってしまうのです。そういうことになりますと、スーパーの業界にしても、生協にしても無視できない存在に少しずつなるんじゃないかなと思いました。

それで、実は最初作ったときは、まさかほかのところでたくさん作ってくれるなんて考えんと、我々は京都に住んでいるから、京都でやれることをやろうかということで作ったんです。作ってすぐに結構新聞に取り上げていただいたというのもあるのですが、各地から、私たちもぜひ作りたいから、どんなことをして作っているか教えろというので、こういうふうに作りましたというのも作りました。現在、知っている限りで全国で20か所そういう地域版の『買い物ガイド』というのができてます。

今皆さんのところにいきました『左京区list』は1993年のものです。京都の地域版の『買い物ガイド』です。お店の名前が実名で載っているということは非常に意味のあることです。それから評価というところ、これもどういうふうに見るかというところが載っていないのでみにくいと思います。これは、花が咲いているのが一番よくて土だけでまだ芽も出していないのは一番悪いかというふうな感じになっております。包装というのがありますが、野菜のトレーがどれだけついているのか、いないのか調べて、それを計数化したものです。そういうものから始まりまして、詰め替え商品がおいてあるのかどうか、石けん商品はどうかとか、再生紙はどうだとか、量り売りをしてくれるかとか。それから、リサイクルは受け取ってくれるのか、斜線を引いてあるのは、実はリサイクルしてない、受け取るだけというようなデータも作りました。今はもっとおもしろいデータが作れると思います。これは、93年ですから。今スーパー業界もだいぶ変わってきました。そういうことを入れたガイドを各地で作り始めました。仙台とか、今高知で作っていますね。九州やったら熊本がいいものを作ってくれました。そういうのでうれしかったのは、全部あっというまに売れたのです。皆数千部作るのです。また売り切れるから楽しくなるというのもあるのです。また、違う地域の方が、うちも作りたいという反応が現れ始めている。

それと、各地でそれによって、スーパーや生協さんとの話し合いが非常に真剣に行われるようになった。スーパーや生協さんのほうからむしろ、最初こんなん作って僕は、怒られると思っていたのです。怒られるというか、きっと文句いわれると思っていたのです。「文句言われ係」というのを我々は作ったくらいでした。で、私がそういう係でした。ところが全然文句言ってこないのです。無視されているのかなというとどうも違うようでした。意外にスーパーや生協さんが、『それやったら私たちどうしたらいいんでしょうね』と

 

 

 

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