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そういうふうにでけへんかなと思っていたのですが、できないで済ましていると何かつまらなかったので、何とかしようと思いまして、1991年、今から6年前に、京都のスーパーマーケットと生協を全部調べ、地域版の『買い物ガイド』というのを作りました。もちろん皆様お分かりのように、これは決して安い、高いがガイドになっているものではありません。その店が、どんなリサイクルに取り組んでいるのか。その店に行ったら、当時はまだ少なかったのですが、100%リサイクルのテッイッシュペーパーやトイレットペーパーを置いているのか、いないのか。それとか、使い捨ての商品ではなくて、詰め替え商品はあるのかないのか。トレーのついた野菜がどれくらいの割合であるのかないのか。買い物袋はどうなっているのかというふうなことを京都市の中にある全スーパーを調べ、2〜3店だけ最後まで拒否というのがありましたが、ほぼ99%まで調べました。実名入りでガイドブックを作ったのです。

ただ、作ったときはどれくらい売れるか正直いって全然わかりませんでした。日本で初めて作っていますし、果たしてこんなことが受けるのかどうかわからへんかったし、到底出版社が出してくれそうになかったので、自費出版しました。大した冊子ではありませんでしたが、3,000部刷って、なぜか2か月で売れました。ただ、1,000部以上も企業が買いはったのです、市民ではなくて。800部以上を東京の企業が買ったのです。しかも、買い物ガイドというのは、スーパーです。それなのにCANNONとかそういう会社が買ったのです。

これは一体なんやろと思ったら、やはり買い物に対して注目する。我々が消費の入口を注目することは、企業にとっては大きなインパクトであることを証明されたんかなと思ったのです。彼らはよく勉強していますから、さっき言った”Green Consumer Guide”は、イギリスで出ていて大きな影響をもたらし始めていると知っています。だから、いよいよ日本でもそんなことをやり始めるところも出たのかな思ったのかもしれません。ただあくまでもこれは、日本での地域版なんです。

そういうとをやって感じましたのは、我々の側が情報を持つことは、非常に大切ではないだろうかということを感じました。相手の情報でしゃべるんではなくて、自分の情報・我々の土俵をまず作ろうではないか。そこへ相手を乗せてていこうというふうなことが大切じゃないかなと感じました。それからもう一つ思ったのは、今はいろいろなところで地域版『買い物ガイド』というのがやられるようになって、おもしろいと思ったのは、若い人が多いのです。ごみ問題や日本の環境問題に取り組む層というのは残念ながらなぜかそんな若くないというウワサがあります。私はウワサだと言っておきたいのです。なぜか20代の方、学生の方がよく参加される。やはり何かを調べて具体的な情報を作り出すという行為自体が、もしかしたら新しい市民運動として意外に今までとっていなかった手法だったかもしれない。

末石先生がコンセプトでと言われました、吹田の千里リサイクルプラザの市民研究員制度というのは正にそういうことだと思っているのですが。自分たちで調べて、それをわかるデーターにちゃんと作ってそれを社会的に出していくということが非常に実は必要なんじゃないかと。そのことによって初めて、いわゆる相手方との対話が始まるんじゃないかと思いました。

その後、我々は全国版の『買い物ガイド』も講談社から出版してもらいました。そういうものも作って、とってもおもしろかったのは、一つはそのガイドを作るということによって我々の場合は、相手はスーパーさんと大規模生協ですが、話し合いが非常にやられるようになりました。これは多分、相手のほうもある意味で『こいつらはこんだけまあ調査もしよる。出版もしよる。放っておくとちよっとこわいんやないか。ちゃんと相手せないかんのやないか』というふうに取ったんじゃないかと思うのです。

もう一つありますのは、我々はこの『買い物ガイド』

 

 

 

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