私は、大阪出身なのですが、京都に住んでいまして、常寂光寺の長尾憲彰さん、あの『カンカン坊主』といわれた缶のことに取り組んだお坊さんなんかと一緒にだいぶ前からですね、いわゆる使い捨て容器とかそういうのが非常に気になって、リサイクルをしながらどうにかせなあかんということでずっとやってきたんです。まあ、主婦連の方やとか生活学校の方も一緒になって各地域でリサイクルをしていた。何ぼやってもこれは増える一方やと、どうなるんやろなあということになってきて、一時はデポジットの運動を、日本である意味で最初にやったのです。
残念ながらあるところまでいったんやけど、うまいこといかへんようになりました。もし、うまいこといったら今頃京都は、日本で一番そういう対策の進んだ都市といわれたんですけど。今ではもしかしたら一番変な都市と違うかなと思うくらいに『あかんな』と思っております。そういうことをやりながらずっと考えてきて、もっと別の方法はないんやろか。いわゆる本当の意味でのリサイクルはいいんですけど、ちよっと前までは努力をなんぼしてても、社会的なシステムからいうと、全体からいうとごくわずかなところであがいているようなむなしさも感じていたこともありました。
元々のごみ減らしは、元から断たなきゃだめと言っておりましたが、正に元から断たなきゃだめなんで、元から断つ方法を具体的にもっと提案できへんもんやろかと思ってたんです。そうしたところ、皆さんご存知のイギリスで”The Green Consumer Guide”という本が発行されたんです。いわゆる買い物で何を選ぶ、どんなサービスを選ぶ、どんな品物を選ぶ、どんな店を選ぶかによって、環境に与える影響がこれだけ違うんだ。また、こういうことが具体的にできるんだと書いた本です。あれは、地球規模の環境問題にどう対応するかが中心だったのです。そういうものが発行され、私どもショックを受けたのです。いい意味でのショックを受けたのです。
こんなやり方、しかもこんなおもしろい本の書き方があるのかと思いました。その後”SHOPPING for a BETTER WORLD”というアメリカで発行された本で、これはむしろ企業がどんな環境に、いろいろ社会的な問題にどう取り組んでいるかによって、その企業の製品を買うべきか、買わざるべきか、どの企業を選ぶべきかというものすごいおもしろいガイドやったのです。
こういうのをぜひ日本でもしたいなと思ってたのです。ただ、日本ではできないのです。というのは、これをやろうと思いましたら、すごい情報量がいるのです。特に企業活動の情報量が必要です。なにしろ日本は株主にさえちゃんとした情報を流さない。情報を流さないで隠したいからああいうふうな訳の分からんことを起こしてるんです。情報が非公開社会というのは、本当にある意味で障害をもたらしています。世界でもやっぱり環境問題に取り組む限り、企業や自治体がもっと情報を出すべきだし、情報を出した上でどうディスカッションしていくのか、どう考えていくのかということをやらないかんのです。そうしないと我々は、企業は悪いとしか言えなくなってしまう、お互い不毛の論議になるんではないかなと思います。