いかにお客様を集めるかを検討し、子供が興味を持つものを作れば大人も一緒に見に来るだろう、という考えが研究員の間で起こりました。つまり、牛乳パックや廃材で、大時計やコースを作って子供を集め、それについて来る親たちにねらいをつなげたわけです。
昨年作った大時計は、再生されているもの、市販されているものをモデルにして、その5倍のものを作ったのですが、あまりにも大きく、時計のような精密なものを単に5倍に引き伸ばすことすら冒険で、ましてや牛乳パックと廃材から作るものですから大変苦労しました。1年余りかかって完成し、子供たちに時計の仕組みが見学できるようにしています。紙と木が奏でる振り子の音を聞く感激は、市民研究員どうしの結束を高めるものになりました。大時計は展示室にありますが、あまりに大きすぎるため、常時動かすことができないのが残念です。
次に、ミニ四駆コース作りですが、牛乳パック1,300枚を使い、企画から素材集め、制作、ビデオ作りまでしました。このビデオは「よみがえれ牛乳パック!」という題にし、関西大学総合情報学部の若い学生さんたちにも協力していただきました。そういうことで宣伝に至るまで、全て研究員が結束して行い、約3か月かかりました。大時計作りと同じく私たちにとっては全てが初体験でした。しかし、普段にも増して得るものが多大でした。まず第1に、研究員どうしが最後までふれあうことができたということです。上は70歳から下は20歳代までの意見の交換、これがほとんど毎日のように交わされ、討議され、志を共にし、お互いに理解し合ったことです。これは何よりも貴い経験となりました。また、制作中にこのようなお話がございました。ある日、牛乳パック工作に一生懸命取り組み、悪戦苦闘している途中に、親子2人がぶらっと訪ねてきまして、その子は学校に行けないお子さんだったようですが、私たちの様子を見て帰宅した後、そのお子さんが一生懸命に夜部屋で何かを作り始めたということなのです。お母さんからその喜びの連絡があり、今度また見学させて欲しいということでした。そういうことがありましたので、私たちグループのメンバーも励まされ、感動しました。
さてイベント当日です。前日からどのくらい集客力があるか非常に心配しておりました。ところが早くから子供たちの行列ができ、急きょ整理券を出したほど大盛況でした。ミニ四駆の部品の入った道具を親子そろって抱えて並んでいるんですが、その親と子が一生懸命作戦を練っているんです。会場に入って来ると、「わあ、これが牛乳パックでできているの?」と驚く親子、「さすがですね」と言ってくれる親御さん、「作り方を教えてくれるかしら」等々、研究員一同は子供たちの輝く目を見たとき、今までの苦労をすっかり忘れて、有頂天に感激しました。終りに近付くと、「今度はいつやるの?また来るからね」と子供たちに催促されるので、これまた研究員一同大喜びでございました。次回からごみ問題に関するアンケートを配布し、できた子供からコースを走らせようとする計画を立てました。このアンケートにおいては5種分別についてのアンケートを親子そろって記入してもらいました。またこのコースは、いろいろな団体から、イベントへの貸し出しの申し込みがあります。
今後の目的は、子供の頃から環境に興味を持ってもらう方向付けを行い、新しいリサイクルイベントの考えとして行なっていきたいと計画しています。目下の悩みは、集客力をどのようにアップしたらよいか、方法力の不足と、資金不足、またそれぞれの研究員に時間的余裕が無いことです。それでも、昨年の大時計、今年のミニ四駆コースとだんだん成果も上がっていますので、イベントに向けて、仲間たちと確実なステップを踏まえて、目的に向かって努力して行くつもりです。私ども情報発信の立場から、以上をもって報告を終らせていただきたいと思います。後で、先ほど紹介しましたビデオを持ってきてますので、ご覧ください。どうも失礼いたしました。
井上:ありがとうございました。一通り紹介と