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取り組む事業主さんはいないというのが現実です。

 

吉村:極端に申しあげますと、ペットボトルを集めて、じゃ私が集めてきてどこかの水を入れて売っても構わないんですか。

 

吉岡:食品衛生法をクリアしていればかまいません。

 

吉村:それでは、中西さん言われてましたことですが、これは実際のリターナブルっていうのは難しいと言われてましたが、可能性は高いのではないですか。

 

中西:リターナブルというはドイツにも例があるのですが、プラスチックというのは吸着性があるのです。ゼロではないのです。ですから例えば、農薬を入れて自分のうちのどこかに1月ぐらい置いておいたとします。その農薬を使ってからきれいに洗ってリターナブルに出したとすると、それを知らないでそれに詰めたという場合は、やっぱり出てきちゃうんですね。そうすると「事故が起きた場合に誰が責任を持つんですか」ということになると、企業が責任をもたなければならない。これはPL法が今ある以上当然のことなんです。そういうことがありますので、厚生省の方がおっしゃったように、法律では別に制限がないんです。やってもいいんですが、現実に問題の起きる確立が非常に高いということがあります。二つの例を申し上げますと、いま私どもも問題の起きない方法を考えています。一つは、サンドイッチにして真ん中に再生材料を入れる方法で、表と液に接するところには新しいバージン材料を使う。そうすると液に接しないので使える。技術的にそのボトルを作ることは可能です。これを今やろうとして厚生省の試験をやっているところですが、「これだけできたからいい」ということではないのです。最後まで作った者が責任を負わないといけませんから、そのために大学の先生に判定していただいたり、審議会を開いたりして、使える状況を作ろうとして、協会では約一億数千万の費用をかけてやっているところです。

もう一つは、リサイクル材料がたくさん集まったときに、繊維だけではおぼつきませんので、一度油に戻して新しいものと混ぜて使う、ケミカルリサイクルと申しますが、これの実験にも取りかかっております。これは技術的にはできないことではありません。すでにドイツでも一部やっているし、アメリカでもやっていることですし、日本でも帝人でやっている。油にする場合は千トンとか2千トンでは困りますので、少なくとも5万トンは集めないといけないので、どうしてそれを全国から集めるかという問題はありますが、そういう技術的解決は、先のものと考えてやっています。

 

☆ペットボトルの回収コストは

吉村:話がバラバラになって申し訳ないですが、次の質問に入りたいと思います。行政であれ、事業者であれ、ペットボトルを回収するときに、どうしても自治体の方はコストが掛かりすぎるといわれるし、事業者の方、あるいはリサイクル協会の方もこれはコストが掛かりすぎるといわれますが、このコストが掛かるといわれるだけで、どのくらいコストが掛かるのか、二つお聞きしたい。

どのくらい経費がかかっているのか。そしてどのくらい掛けられる可能性があるのか。ペットボトルの回収コストは如何なるものか、お話ください。

 

鈴木:まず自治体がやっているのは収集運搬の問題だと思うんですが、東京都の場合の収集運搬コストは、4月にスタートしたばかりなので把握できていません。

多摩市の場合はキロ当たり20〜28円くらいのオーダーとのデータが出ております。

ペットボトルは、リサイクル法ができる以前は、試験的なこともあったんでしょうけれども、中西さんがおっしゃったように量を集めたいということで、実際に市町村が行きますと、今までは有価で引き取ってもらえた、我々の場合それができませんので、どのくらいになるか分からないんです

 

 

 

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