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いうのは一度つぶしたらもう二度と再生できないんです。

我々が子孫に本当に残さないかんものは何なのか。ごみの島で大阪運河にしてそれを残すべきか、そうじゃなくてこの風光明美な大阪湾・瀬戸内海をそのままの形で子孫に残すのか、あるがままの自然は変遷しても価値観が変わりません。それ以外のつくられたものというのは、全部寿命があります。我々は子々孫々のために大阪湾を開発して、そしてテクノポートを造ってなどと、今の政治に携わる人は言いますけれども、それこそ自分らの時代しか見ていません。

私は、世界中を歩くにつれて、そんな思いがひとしおなんです。それじゃ、コンクリートにして災害を防いでるやないか。コンクリートの護岸は何ぼ高くてもだめなんです。日本の海はテトラポットだらけですが、皆様方も海外旅行をされた方は世界のどこの国に行ったら、あんなテトラポットみたいなお化け見られるか。どこもなかったんです。最近は日本の悪しき真似をして、台湾と韓国の一部が海に入れ始めました。他の国にはあんなもの全くありません。無くとも災害は防げるんです。例えば、アメリカのフロリダの場合では、ハリケーンという台風に匹敵するものが、大西洋から何もさえぎる物が無いまま来るんです。ストレートに来るのです。途中和らげるものが何も無いのです。

そのフロリダ半島全部、護岸も無ければテトラポットも無ければ、防波堤も無いです。そのまま砂浜だけがあります。それで、僕らも釣りに行きまして、庭先にクルーザーが止めてあって、それから先は大西洋です。「ハリケーンが来たらどうするんや」と言ったら、「ハリケーンは何千年も前から来とるけど、土地が無くならずにおるやないか。だから大丈夫」だと。それと、フロリダにハリケーンが襲うというときに、民族の大移動で500万人くらいが内陸に車で大移動したという、そういうニュースが時たま流れる。日本人はどんなときでもそこに踏みとどまって、災害を止めるために自然と闘う。それで、いくらやっても「灯篭の斧」でダメなんだと、世界の人は災害が来たら、その時は逃げましょう。自然と闘わすのはやめて逃げましょうというのが、今の世界の常識なんです。

日本は、万里の長城を頑張ろうとする。しかし、万里の長城を築いて頑張ろうというのは、実はゼネコンに仕事をあげるために頑張ろうということなんです。いま、オール与党の政治というのは、大阪湾沿岸事業、堺も大阪も神戸もそうです。そのためにゼネコンでなければ手が出せないのが、ダムと埋め立てです。今、大阪市の咲島地区というふうにいっていますが、ATCとかWTCとかインテックス大阪があるあの埋立地です。あそこの埋立地の公共事業の入札した企業95%がゼネコンで大手です。

しかし、一般の埋め立て土地の無いところでは、大阪市は比率は高く35%がゼネコンです。要するに,埋め立てとダムはゼネコンでないと、手が出せないんです。それを続けていこうといとうことで、現在大阪湾には大阪市が新人工島といいます300ヘクタールの埋め立てを計画しております。それのごく一部100ヘクタールを、これはフェニックスだと、ごみを人質にとって埋め立てを計画してます。神戸も神戸空港、それともう一つ六甲アイランド南地区を、ほんのちょっぴりごみの処分場をつけ埋め立てをやってる。瀬戸内海で現に禁止されている地域に、ただ環境を良化するという、そういうふうな名目だけで、例外が認められております。

だから、埋立地にみんなごみの処分場をちょろっとひっつけるというふうなことで処理してます。神戸空港の場合は、中央公害審議会をパスしまして、環境庁が承認しました。まさかと思ってましたけど、環境庁が承認した理由は、「神戸空港はエコアップエアポート」と、神戸はこのように申請しております。神戸空港を造ったら周囲の環境が良くなるんだと、環境創造型というふうなことを言って、神戸空港は環境庁の審査をパスしています。

その目玉は、僕らが学者と一緒に研究して理論

 

 

 

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