づけて、今、大阪府なんか大阪市にそういうものをつくってほしいという「海洋の空」という理論なんです。海洋の空は、潮の干満によりまして、水が出入りするとその出入りの際に、石組みの護岸が水質を浄化する。そういう能力をたまたま釣り場である大阪・堺の7.3区で僕らが見つけまして、学者と一緒になって理論的に確立した海洋の空です。
神戸空港はその僕らの海洋の空理論を逆どりしまして、270ヘクタールの空港の中に、石組みで閉ざされた海域をつくります。そこへ1日2回、潮の干満が出入りする、中へ入ってくると外に出るときにきれいになった水が出ますから、それで神戸空港は周辺海域を浄化しますと、270ヘクタールつぶして、たったの2ヘクタールの海洋の空で浄化しますと、いうようなまやかしが通っております。
世界では、ダムをつくるのは環境破壊だけでなく、どんなにソロバンをはじいても無駄だということで、アメリカはもう6年も前、国の方針としてダムをやめました。日本は山奥にダムをつくるところが無くなったから、今はもっぱら無駄な河口堰をやってます。アメリカは、まっすぐにコンクリートの3面ばりにした川を、もう一度蛇行した川に直そうということで、フロリダ州とアメリカ連邦政府が8,000億かけて、今、キスギ川という160キロの川を、コンクリートばりをはがして昔の川に変えています。ドイツもやってます。世界の公共事業は、環境を良くするため、昔に戻すためにお金を使っているのです。
日本は、右手で自然を壊したら、左手で回復するという方法をとっております。これは僕らが「往復ビンタの理論」と言いまして、住民にとっては右手でこわして、左手で直すというのはとんでもない無駄使いだと思うんです。ゼネコンに言わせてみれば、「需要が倍増した」とこういう解釈なんです。そういう形でとうとう日本は530兆円もの大借金を抱える、とんでもないピンチを今迎えております。
自然環境との共存
最後に、皆様方に考えていただきたいことをご報告します。4年前に私はモンゴルに幻の魚といわれるイトウを釣りに行ったんです。イトウ釣りには、中国のダイコアンレイとか、クーロン港のゲンブリュウとか6回行って、たった3匹しか釣れなかったイトウが、モンゴルでは1日半で101匹釣れました。それで、イトウを釣ることをやめたんですけど。
そのモンゴルのシシクド川というウランバートルから片道4日、往復8日間かけて、途中は全く道も無い草原を車のわだちを伝って走るという往復4日間かけてロシアとの国境近いところまで行ったんです。シシグロ川というのは、今度エリツィンさんと橋本さんが釣りをしたというエニセイ川の源流になります。
そこまで行ったときに、モンゴルの人は遊牧民で、夏場は馬乳酒しか飲まないんです。それが食糧であって、飲物なんです。馬の乳を1日半くらいかくはんしますと、ちょっとアルコール分が出てきまして、カルピスの原型だといわれています。カルピスみたいに甘くはありません。僕らの通訳とかガイドとかは、馬乳酒が欲しくてしょうがないんです。
とにかくゲル(中国ではパオという)がみつかったらすぐそこへ寄ろうという。ところが、ゲルという移動式の住宅を訪問する人は、いつもある日突然に来るのです。僕らが突然に馬乳酒をもらいに行きましたら、僕が日本から来たというと、すぐに近所から一族郎党集まってきて、大歓待になるんです。それはいいんですが、時間が一か所でも4時間くらいとられるんです。それは写真を撮って欲しいんだと、僕らがポラロイドカメラで撮ったら、すぐに伝令が馬で行きまして、一族郎党が着飾ってきますから、何枚も撮らなくてはいけない。ゲルをこの道中で20軒くらい訪問しました。
その時、どこのゲルに行きましても、水が貴重品なんです。水は、子供が大抵馬でくみに行きまして、顔を洗ったものをまた貯めておいて、それ