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野生生物に関するその他の潜在的証拠に対する適切なトラスティー派遣機関の権利を認め、そうした全ての証拠を合同事故対策統轄本部の要求に従ってトラスティー派遣機関に提供します。

 

F. 研究と技術開発

レンパート、キーン、シーストランド油流出防止および対応に関する法律は、油に汚染された野生生物のリハビリテーション手法の改善のために必要な研究と評価を実施する義務を、OSPRの室長に負わせています。この法律には、さらに次のようなことが述べられています。「室長は自然環境と公衆衛生に対して生じうる悪影響を評価するものとする。それは以下のものを含むがこれに限るわけではない。生物濃縮と相乗的影響を考慮に入れた、水質、漁業、野生生物に対する毒性による悪影響…。」このように、元となる法律は油に汚染された野生生物の救護施設の建設だけではなく、油が野生生物に及ぼす影響の応用研究および基礎研究や油に汚染された野生生物の治療を最適化するための技術開発の必要性もはっきりと想定していました。これらの使命を果たすため、OSPRは油汚染野生生物救護ネットワークを作りました。

1992年以来、その法律の施行の一貫として、OSPRは以下の研究の支援をしてきました。ラッコの様々な臓器に石油が及ぼす影響(実験モデルとしてミンクを使用)、生きている鳥獣の毛に付着した微量の油の瞬時の発見技法、ラッコの免疫反応に油が及ぼしうる影響の特性評価、リハビリテーション過程で生じた影響を油や他の健康上有害な物質にさらされたことで生じた影響から区別することを含むゴマフアザラシの免疫反応の特性評価、鰭脚類の平常時の健康データの確立と油にさらされる危険性の高い個体群を示した図、主要な鳥種の平常時の健康データの確立。こうした研究は、油に汚染された野生生物の救護の技術を向上させるために、また油汚染が動物の個体群に長期に渡って与える影響と相乗的影響を測定する能力を向上させるために計画されたものです。

1995年に、AB1549によりその法律が改正され、油汚染野生生物救護ネットワークが達成すべき任務として技術開発と研究が付け加えられました。カリフォルニア大学デービス校獣医学部内の野生生物ヘルスセンターによって運営される予定の研究資金助成プログラムが、1996年度から以下の項目に従って作られ、そこには十分な資金が与えられます。

 

1. 動物保護の要求事項

動物虐待防止法により、生きている動物の利用を含めたいかなる研究プロジェクトも「動物の保護と取扱いに関する委員会(Institutional AnimalCare and Use Committee,IACUC)」の許可なしには実施できません。油汚染野生生物救護ネットワークの科学的諮問委員会は、「動物の保護と取扱いに関する委員会」を設立していないグループの研究プロジェクトのために、大学の協力者、または別のグループの適切な「動物の保護と取扱いに関する委員会」紹介するように努めます。

 

2. 関係分野

上記で述べたように、OSPRは石油が野生生物に及ぼす影響に関する技術開発と研究を援助、実施しています。これらの研究のほとんどは、大学や研究機関に委託する形で実施されてきました。こうした研究では、通常の状態を表わすベースラインデータを整備する必要性が強調されてきましたし、基礎研究と応用研究が行われています。油に汚染された野生生物に関する研究を対象とした研究資金助成プログラムは、今後も基礎研究と応用研究の双方を支援し続けます。

油汚染野生生物救護ネットワークの研究および技術開発プログラムは、NRDAや合同被害測定(Joint lnjury Determination)の研究のために特別に用意されたものではありません。油汚染野生生物救護ネットワークの下で行われている応用、基礎研究と技術開発の研究は、NRDAや合同被害測定の研究と何らかの関連があると考えられていますが、事故原因者が招いた被害を証明したり回復したりすることだけを目的とした研究は研究対象にはなりません。

基礎研究の例として以下のようなものがあげられます。動物の個体群と生態系に石油が与える影響に着目した研究、種と個体群ごとの正常な健康指標を検討するための研究、野生生物の主な臓器に石油が与える影響に着目した基礎的な医学的生理学的研究、1個体内での毒性の基本的メカニズムの研究などです。

応用研究の例としては、以下のようなものがあげられます。油に汚染された野生生物の治療または全体的な救護結果を向上させるための研究、選別方法の研究、リリース技術とリハビリテーシヨン成功率およびリリース後の生存率の研究、小さな個体群または単独の

 

 

 

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