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ガイダンス文書「油に汚染された野生生物の救護のために」の最新版では、カリフォルニアの海岸と米国沿岸警備隊の各領域での対応の要求レベルが算定されています。それぞれの算定は、前者は流出事故発生後24時間以内に予想される搬入数、後者は流出事故発生後48時間以内に予想される搬入数に基づいています。重大な油流出事故の初期の段階で搬入される鳥の羽数が1,000羽から4,000羽にも達する場合は、いかなる野生生物救護施設でも対応しきれないということが認識されたので、油汚染野生生物救護ネットワークが設立されました。これによって、地方の救護施設は収容しきれない個体をほかの施設に収容してもらえる体制になりました。

 

B. 費用と時間の有効度

装備の整った施設と最高レベルに訓練された経験豊富なスタッフのこの広範囲なネットワークによって、油汚染野生生物救護ネットワークのメンバー(以下の定義を参照)は、1羽の鳥にだけ影響を与えるような小規模の流出事故から海棲哺乳類、ウミガメ、絶滅寸前の種を含む数千に及ぶ個体に影響を与えるような大規模な油流出事故まで、完全にコーディネートされた野生生物対応活動が実施されることを期待できます。油汚染野生生物救護ネットワークの1つの狙いは、費用効果の高い、財政的責任を持った対応を行うことであり、これは事故に巻き込まれた野生生物に達成しうる最高の治療を与えることにつながります。最高の治療を実現するための鍵は、油に汚染された野生生物の救護のための医療技術やリハビリテーションの方法に関する研究と技術開発の継続です。カリフォルニア大学デービス校によって運営されている研究資金助成プログラムによって、油汚染野生生物救護ネットワークは、野生生物を守ったり、リリースされた個体が再び自然の個体群に復帰することを保証するためのこれらの研究や技術開発を実行したり評価したりすることができるでしょう。

 

?W. 定義

 

A. 油汚染野生生物救護ネットワーク(OWCNまたはネットワーク)

カリフォルニア州全体をカバーする野生生物の救護をする人々のネットワークで、レンパート、キーン、シーストランド油流出防止および対応に関する法律に従って設立された地方の施設を含む。これらの施設は、海洋で発生した油流出事故に巻き込まれた海鳥、ラッコ、他の海棲哺乳類、ウミガメのリハビリテーションを行う場であり、いつでも使用できるように維持管理されている。

 

B. 参加団体

油汚染野生生物救護ネットワークのために野生生物の救護活動をしてくれる野生生物のリハビリテーション団体。いつでも対応できる状態を維持しておくために、スタッフに対する訓練、装備、支給品をネットワークから提供される。

 

C. メンバー

カリフォルニア油流出緊急時計画を備えている組織(つまり流出の原因者となりうる者)で、油汚染野生生物救護ネットワークを油に汚染された野生生物の救護のために活用するといった活用願いをOSPRに届け出ている者。そして油汚染野生生物救護ネットワークをその緊急時計画の中でこうした役割の担い手として指定している者。

 

D. ネットワーク諮問委員会

石油業界、石油運搬業界、野生生物リハビリテーション団体、学会およびその他の研究機関の代表者からなる諮問委員会。代表者の1人はカリフォルニア州にあるいずれかの獣医学校の代表者であり、また米国魚類野生生物局(United States Fish and Wildlife Service, USFWS)と海洋水産局(Nationl Marine Fisheries Service)は、職務上のメンバーとしてこの委員会への参加を要請される。委員はOSPRの室長に任命される。この諮問委員会は、油汚染野生生物救護ネットワークの運営と維持に関する勧告をOSPRの室長に対して行う。

 

E.科学的諮問委員会

学会、石油業界、リハビリテーシヨン団体、その他の研究機関の科学的な資格を持った人々による委員会。科学的諮問委員会は、助成金獲得のために申請された研究と技術開発のプロジェクトの科学的価値を評価する。委員はOSPRの室長に任命される。

 

F. 室長

カリフォルニア州魚類鳥獣保護局OSPRの室長。

 

G. OSPR学部長

カリフォルニア大学デービス校獣医学部の学部長。

 

 

 

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