レンパート・キーン・シーストランド油流出事故防止および対応に関する法律Lempert-Keene-Seastrand Oil Spill Prevention and Response Act
環境保護と補償の基準がOPA90を上回る法律をそれぞれの州が作れるという権利獲得のための州の議会通過運動は激しかった。はたして、州が勝訴し、その結果OPA90と比較してより積極的な油流出事故防止と対策に関する法律が多くの州で制定された。カリフォルニア州もその一つで1990年9月にレンパート・キーン・シーストランド油流出事故防止および対応に関する法律(Lempert-Keene-Seastrand Oil Spill Prevention and Response Act, 以下レンパート・キーン・シーストランド法)が議会を通過した。
事故当事者の補償責任とその他の責任
州はOPA90に定めた補償額をうわまわる額を事故当事者に請求する権利がある。レンパート・キーン・シーストランド法に関しては、補償額の限度はなく、事故の責任を負わないケースは少なくなった。事故当事者が油回収、損害アセスメント、現状回復をすることになっているが、それらのことを当事者のかわりに他の団体がした場合や援助を受けた場合の費用についても事故当事者に責任がある。
事故の原因者は現状回復事業を自身で実行するかまたはそうでない場合はそれにかかる費用を支払わなければならない。そして、自然が(できれば被害を受けた事由そのものが)元の状態になるための考案書を提出し、承認を得なければならない。
緊急時計画策定
州内の各緊急時計画は、州、地域、地区単位で制定され、それぞれがお互いに関連しあっている。各緊急時計画の中の条項には、被害を受けた野生生物のための施設の確保や生態学・環境上事故の影響がでやすい場所を記載した地図の作成、またそれらの地域で事故が発生した場合の対処法を記さなければならない。保護をする上で最も優先する場所の指定も必要である。全ての操船者と海洋設備の操縦者は法令に基づいて油流出事故に対する緊急時計画を提出し、承認を得なければならない。その緊急時計画を承認するにあたって、検査やテストが実際の現場で行われる場合もある。
組織的要素
油流出防止対策室(OSPR)
レンパート・キーン・シーストランド法はOSPRを魚類鳥獣保護局内に設置した。室長の任務は、演習とテスト、対策準備、汚染拡大防止や回収作業を管理指示することである。州が連邦政府と協力して対応にあたるときには、州の代表となる。油流出事故が大事故の場合は、自ら現場に行き、被害の多い事故の場合には損害アセスメントの実施確認とそのための費用確保の手配をする。また、自然界の回復をはかり対策を改良するための研究をすすめる。州内における連邦以外の緊急時計画のチェックも行う。
州内省庁間の油事故対策委員会
州関係省庁油流出対策委員会は州内21の省庁の代表からなり、委員長にはOSPRの室長をたてる。委員会はレンパート・キーン・シーストランド法に基づいた法令とガイドラインをチェックし、それについての意見を提出する(この場合の意見に拘束力はない)。
油流出に関する技術諮問委員会(Oil Spill Technical Advisory Committee)
油流出に関する技術諮問委員会は9人のメンバーから成る。一般大衆と石油会社、州と地方政府の公務員(直接かかわりを持っていない人)の代表と、環境/生物学上の保護分野の専門家、油流出事故防止および対策分野の専門家がメンバー構成である。委員会役割は、国民側にたった意見を述べたり、OSPRの室長と州関係省庁油流出対策委員会の活動について独自の評価をすることである。
基金
油流出防止管理基金(Oil Spill Prevention and Administration Fund)
州外の石油製品とマリンターミナルや州内外からのパイプラインを通してカリフォルニア州に届けられた原油1バレルにつき4セントの課税からなる。基金は、事故防止と緊急時対策事業、油流出の影響についての環境上や経済学的な研究や油流出事故が発生しそうな場合の対策などに使われる。