日本財団 図書館


域が円滑に対応できる仕組みとなっている。どのような場合でも、FOSCが二つ以上存在することはない。

事故が国家的な大事故の場合は、米国沿岸警備隊(United States Coast Guard, USCG)が特命事故対策統轄官(National Incident Commander)を指名し、その司令官がFOSCの役割を担う。事故に対応するため国が国家的対応組織の全総力を動員している旨を国民が知ることとなる。

油除去作業は、州知事と相談の上FOSCが作業終了と認めてはじめて完了することとなる。

 

カリフォルニア野生生物対策計画 (California Wildlife Response Plan)

野生生物と油汚染による被害が出やすい環境に関する付属書(Fish and Wildlife and Sensitive Environments Plan Annex)の一部に、California Wildlife Response Planがある。この計画については、カリフォルニア州内のすべての連邦政府地区緊急時計画中に記載の必要があり、事故対応中、事故対策統轄本部に従い野生生物の保護活動が行われることや、現場から離れた場所での野生生物の手当、リハビリテーションについて記載されている。

事故後すぐに、OSPRが関係州と連邦政府トラスティー、野生生物救護のボランティア団体に事故の通知を行う。事故状況の把握がされ適切な対応が行われるよう対策レベルが決定される。この決定をするにあたっては、さまざまな方法がある。地区、原因者緊急時計画の中にある環境上被害のでやすい地域を示した地図と油漂流先予想図を基に危機に瀕している野生生物の状況が把握される。魚類鳥獣保護局の上空からの事故現場査察も参考にされる。

野生生物の保護は、野生生物が生存している地域への油の拡散を防ぐため、オイルフェンス、油回収船、油処理剤といった一般的に使われる油除去具を使用することが第一の方法といえる。適切な対応策については、野生生物信託局の指導のもと、合同事故対策統轄本部が決定する。

野生生物の保護(特に鳥類)における第二の方法は、汚染地域から追い払う方法で、人形やヘリウム風船などの設置といった視覚的効果をねらったものなどがある。聴覚的方法としては、大きな音(銃声、大砲音など)による方法や鳥が発する威嚇音の使用などがある。飛行機や船で追い払ったり、安全な場所に集めたりする方法や、捕獲後安全な場所にはなすといった方法もある。

油汚染から鳥類を保護する第三の方法は、捕獲、リハビリテーション、そして汚染された鳥類の放鳥である。捕獲は地上、または船により海上でおこなわれるが、この捕獲は魚類鳥獣保護局の担当となる。

油汚染被害を受けた生物の状態、汚染地域に取り残された生物の生存数、死亡または生存状況、個体の生存や繁殖が危ぶまれるような場合の状況などのデータを収集する手順が確立されている。拾得した鳥の死骸はすべてにラベルを付け、記録書作成のため一ヵ所の研究所に集められる。

各種許可証の発行手続きを早めるため、請求者はチェックリストに記載されている事項を済ませ、事故対策統轄本部を通して資源管理機関に提出する。緊急時計画には、よくこのようなチェックリストが含まれている。

カリフォルニア州地区緊急時計画の中のこの項には、使用可能な機器、スタッフを提供する団体名、野生生物の保護を一時的、または常時行う施設名(施設への道順を含む)のリストが記載されている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION