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定する権限はOSPRの室長にあるが、OSPRの室長にまだ事故報告がなされていない場合は、カリフォルニア州魚類鳥獣保護局がその決定権を持つ。カリフォルニア州の定める優先順位は、1)人命、健康と安全、2)あらゆる自然資源、3)文化的資源および経済的に重要とみなす所、である。

 

事故対策統轄体制(Incident Command System)と合同事故対策統轄本部(Unified Command)

油流出という事故の性格上、関係機関が多岐にわたるため、カリフォルニア州では、合同事故対策統轄体制(Unified Incident Command System)を採用している。合同事故対策統合本部は、FOSCと、OSPR(OSPR室長かOSPRの地区担当官)と地方自治体(緊急局長)、原因者から構成される。

 

事故対策統轄体制の特徴

事故対策統轄体制という特異なシステムにより、緊急事態における有効的な対処が可能となっている。たとえば、関係者全員に共通する専門用語の使用、上層部から編成されている柔軟な組織体制、統一されたコミュニケーション手段、関連省庁が行う合同対応書などである。

 

一般的な対応手順

事故発生後にとられる一般的な対応手順についての記述は、統合司令の実行とすべてのレベルにおける緊急時計画を同時にかつ円滑に実行することが迅速で調整のとれた対応につながるということである。

地区緊急時計画や船体・設備緊急時計画に記載されているように、事故が発見されると、対応にあたるすべての団体やスタッフ(特に関係地域の)に通知される。最初に活動を起こすのは、事故を起こした会社、事故対応にあたる契約会社、地元の消防、警察署、緊急局局長である場合が普通である。事故現場は、すぐに封鎖され、関係者以外の立ち入りが禁止される。

はじめに対応にあたる部署によって、政府機関や団体から前もって選出された担当者が事故対策統轄官の役を暫定的に引き受けることとなる。原因者が先に活動する場合は、船体・設備緊急時計画にもとづき対応する。地元政府機関はその地域の連邦地区緊急時計画に記載された手順に基づき活動を開始する。船体・設備緊急時計画は地区緊急時計画の内容と相反することは無いので、お互いの活動が対立するようなことは起こらない。しかし、事故司令官が二人以上になると、即座に合同事故対策統轄本部が編成され、共同作業案が作成される。

事故の管理指導の第一責任者はFOSCである。連邦地区緊急時計画に記載されているように、FOSCは合同事故対策統轄本部における役付けを決め、それぞれの責任を明確にする。と同時に、州や連邦政府をサポートする地元政府機関のメンバーに特別任務を割り当てる。

事故通知後FOSCは、地域と地区緊急時計画のガイドラインに従い、以下のような活動を開始する。

 

予備調査

最初にFOSCがすることは、事故の把握と原因者に対応能力があるかどうかを調べることである。事故の大きさや状況により、国家対策チームや地域対策チームに通知する。

 

モニタリング

原因者に対応能力があると判断された場合、FOSCは油回収作業が適切に行われているかを監督する。

原因者が回収作業を拒否した場合、または適切に作業を続けられない場合は、FOSCが州またはその地区に作業の一部またはすべてを施行させることもある。

 

対策援助

連邦政府の援助が必要な場合、FOSCは必要な物資、人材などを調達し、油流出保証信託基金に支払いを要請する。かなりの被害のおそれのある場合は、対応をはやめるため、必ずしも法令通りの手順を踏まない場合もある。

FOSCは即座に関係する自然資源トラスティーに事故の通知を行い、トラスティーと対応を調整する。州トラスティーは、トラスティーの中から連邦政府トラスティーとの調整を行うための主務官庁(Lead Trustee Agency)を選ぶ。主席トラスティー(Lead Administrative trustee, LAT)は、連邦、州のトラスティーとFOSCをつなぐ連絡窓口の役割を担う。

必要であれば、FOSCは主席トラスティーをサポートするためのスペシャルチームの出動を要請できる。

事故対応が複数の地域にまたがる場合は、地域と地区緊急時計画の記載により、すべての関連地

 

 

 

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