れている。法令では、全てのオイルタンカーに油除去装置の装備が義務づけられ、訓練や設備の検査、抜き打ち検査なども要求される。(後述のカリフォルニア州法令における船体・設備の緊急時計画を参照)
州レベルでの計画と準備
カリフォルニア州における緊急時計画のシステムとして、州、地域、地区の計画の要旨がそれぞれお互いにうまくかみあっていることがあげられる。計画には、1)環境的、生態学上被害を受けやすい地域を表示した地域地図やそのような地域で事故が発生した場合の対処方法、油流出事故に際して最も重要視しなければならない地域の特定、防衛手段、2)野生生物保護についての緊急時計画、3)海洋性生物の救護、リハビリテーションのためのステーションについて、4)NRDAの実施方法、が記載されている。
カリフォルニア州法令における船体・設備の緊急時計画
カリフォルニア州法令によれば、すべての船、海洋設備の責任者は緊急時計画を提出、承認されなければならず、現場におけるテストや検査等が行われる場合もある。
船体の責任者の義務としては、最大積載油の25%が流出した場合に対応可能な物資、設備の調達があげられる。事故により汚染される沿岸や地域を特定するためのTtajectry Analysis(油が流出した場合に、潮流、天候などの周辺の状況からどの方向に汚染が広がるかをコンピューターによって分析すること)の実施も必要である。この分析結果から、船や設備の責任者は環境的、経済学的、文化的に被害を受けやすい地域を知ることが可能になり、それにより有効な対策手段やどういった設備や人材がどれほど必要であるかといったことも知ることができるようになる。
OSPRには、企業が船体・設備の緊急時計画を作成するにあたって参考となるさまざまな文献、ガイダンス(油汚染拡大防止策や除去策、油汚染専門会社との契約の締結方から汚染された野生生物の扱い方までとさまざまである)が用意されている。
計画には、事故が発生した場合の通知方法やあらゆる団体、人事間を結ぶ連絡手段を明記しなければならない。また、油流出事故につながる可能性のある危険な要因を排除するためのあらゆる防止策(油汚染から環境を守るための方法も含む)の記載も必要である。
PART?U: 実際に事故が発生した場合の対応と調整
国家レベル
油流出事故が一般大衆の衛生と厚生に対して脅威とならない限りは、油除去については即座に原因者(Responsible party)の担当となる。原因者の指示の元油除去が行われる場合は、FOSCが監督し、原因者が任務を果たせないような場合は、FOSCがかわって指揮権をとり、連邦政府が支払った費用を原因者に通知する。一般大衆の衛生と厚生、野生生物に害が生じるような事由がある場合は、FOSCが連邦、州、民間の活動を指揮し、即座に地域対策チームの活動開始となる。その地域で対応しきれない場合や、2つ以上の地域にまたがった場合、民衆の衛生や厚生、野生生物にかなりの害が生じるような場合に国家対策チームが出動する。
国家対策チーム
実際事故が発生した場合の国家対策チームの任務は、1)FOSCから提出される報告書を検討し、事故対応についての提案を地域対策チームを通して提出する、2)関連地域外からの援助を要請する、3)関連地域外から当事者への機器、人事、技術的アドバイスの提供の調整を行う、等である。
地域対策チーム
事故が起きると、通常の地域対策チームのメンバーからその事故に対応する別のチームが事故の場所や状況に基づき特別に編成される。事故発生時の地域対策チームの任務は、1)FOSCからの報告書を検討し、アドバイスをする、2)関連地域外からの援助を要請する、3)FOSCの役割である国民への情報周知の準備の支援、4)事故の状況が変わった場合、国家対策チームに報告書を提出する、等である。
連邦現場統轄指揮官(FOSC)
事故時のFOSCの役割は、後述の“Standard Response Procedures”の項を参照。
州(カリフォルニア)レベル
事故発生時、州が何を最優先に保護するかを決