現在の日本のような状況にあったのはそれほど昔のことではありません。州の機関どうし、連邦の機関どうしの間にしばしば起こる対立の他に、カリフォルニア州では州対連邦の対立は幾らでも起きる可能性があります。ですから先程ブルソウ司令官がおっしゃった通り、きちんと事故対応ができるように準備をするには、全ての利害関係者、つまり州、連邦、NGO、環境保護団体、石油業界を一緒に協力させる地域計画策定プロセスが不可欠だと強調したいと思います。私達にはそれをさせてくれる法律の基盤があるということは幸運なことです。
そして、私の発表の最後に言ったことだと思いますが、日本は「油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約(OPRC条約)」の締約国ですので、私達と同様の緊急時計画作成手続きを手がけているかと思います。さらに、国際油濁補償基金の現在の補償金の対象やその上限は、メンバー国、加盟国によって決まるものだということにふれたと思います。アメリカは国際油濁補償基金の加盟国ではないので、アメリカが持つその組織内の影響力は日本ほど大きくないということになります。ですから、もし日本が国内において、油流出により被害を受けた海鳥の繁殖地など、自然資源の回復活動に取り組むことが妥当だと判断し、それを国際油濁補償基金に対して要求すれば、日本が今関心を持ってきているような野生生物に関する課題に対して、世界中の国も目覚めるきっかけになると思います。日本は海洋の強国です。日本船籍の船も多いし、他国に船籍を置く日本人所有の船の数はさらに多いのです。
日本の船は世界中を回っていますが、アメリカの海域に入ってくる時はアメリカの法律に従ってくれます。ですから、海運業界の方々のご意見を求めれば、アメリカのシステムに関する情報を持っているし、日本のシステムの改善のためのアイデアもあるかもしれません。彼等も計画の段階から参加するよう招くことは望ましいと思います。今日のシンポジウムにこれだけ多くのグループ、政府の機関が参加しているということは、もうすぐ日本が革新的な動きを見せてくれることを示していると思っています。頑張って下さい。私達はできることがあればお手伝いさせていただきたいと考えています。
ジョン・フリーズ:
それでは植松先生に今日のシンポジウムの成果をまとめていただく前に、アメリカの講演者を代表して一言二言コメントをさせていただきたいと思います。シンポジウムを準備している時に、アメリカの講演者の方たちと連絡を取り合っている時、そして彼等が日本にいらしてからお話しを聞いている時に強く感じたことですが、達成可能な最善の対応をするために、協力ということがいかに大切かということです。それから、ナホトカ号の事故でもとても明らかになったことは、流出事故は突然起こるもので、多くの場合は地域の対応能力を上回ることになります。ですから、1国の地域間でもそうですが、国と国の間でも対応能力を共に整えたり協力することが必要です。
今日の発表の中に技術的なことや理論的なことなどが多かったのですが、このような情報を50分の発表時間では十分に説明できません。ですから次のステップとしては、アメリカの専門家と日本のNGO、行政の機関の方々との間で開催される1日から数日をかけてのワークショップがいいと考えています。お互いから学ぶことはたくさんあるでしよう。他国において対応がどのようになされているかを自分の目で見ることができると、自分の国の長所、短所がよく分かってきます。その作業を通じて自分達のシステムをより客観的に評価することができるからです。ピート・ボンタデリさんはOSPRの室