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植松:

是非、目的を明確にした形での提案をNGO側からもしていただければと思います。頑張って下さい。

 

ジョン・フリーズ:

それでは時間も無くなってきましたので、こちらでの話をそろそろ締めくくりたいと思います。最後にブルソウ司令官、日本の現状についてご意見、ご感想がございましたらお聞かせ下さい。ブルソウ司令官は横田基地で仕事をされていますので、日本の事故対策に当たるみなさんをよくご存じだと思います。日本の現状から何が一番変わらなければいけないと思いますか。そしてこれから油の流出事故が起きた時に野生生物を保護するのに何を変えればいいのでしょうか。

 

ジョセフ・ブルソウ:

私は去年の1月にナホトカ号の事故処理現場に行きました。そこで印象的だったことは、これは10年前に私達がアメリカでやっていたことと同じだと思ったことです。つまり私達のナホトカ号に相当する事故はエクソン・バルディーズ号の事故でした。その経験を10年前にしたお陰で、私達が今日ここに来ることができたと思います。アメリカで大きな力を発揮してきたのは、包括的な事前の計画の努力だったと思います。私達はそれを地区緊急時計画作成手続き(Area Contingency Plan Planning Process)と名付けています。それが何故こんなに効果的なものかと考えますと、関係団体や組織に全て事前に計画の段階から参加をしてもらうからだと思います。

しかし、このプロセスをうまく機能させているのは、法律による基盤です。つまりこのプロセスを認めるだけでなく、それを要求する法律がある訳です。その法律は、計画のみならず指令、管理のシステムをも規定しています。そのシステムは幾つもの事故の際に試されてきましたけれども、その都度よいシステムだという確信を持ってきました。

最後に予防について話をしたいと思います。今日のシンポジウムで、ある1つのポイントがとても明確に示せたと思います。実は今までこれほど明確にされたことは私は聞いたことがないぐらいですが、それは何かというと、私達がどんなに努力をしても、油の流出事故で被害にあった鳥の多くは死亡してしまうということです。流出事故や船の衝突事故を防ぐために活動している行政機関がもちろんある訳なので、その機関も事前の計画段階から参加すべきです。つまり野生生物を保護したい皆さんと、事故による人間の死傷を防ごうとする機関が、お互いにサポートできると思います。

 

ジョン・フリーズ:

それでは最後にピート・ボンタデリさんに一言、日本の事故対応において野生生物を保護する上で改善の提案があればお聞きしたいと思います。

 

ピート・ボンタデリ:

まずは今日のシンポジウムを可能にした皆さんにお礼を言わせていただきたいと思います。素晴しい第一歩だと思います。日本に来て、カリフォルニアが今のところ先端にあるというお褒めの言葉をいただいて嬉しく思います。

しかし、私の発表の中でも明らかに示したつもりですが、カリフォルニアの私達も、

 

 

 

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