データというのは全部自分で集める必要はなく、既に存在しているデータを1ヵ所に集めることが大切です。我々はカリフォルニア州でこういった仕事をしている訳ですが、カリフォルニア州ではこういったデータを収集し始めてもう30年になります。何故カリフォルニア州で30年間もデータを収集しているかと言いますと、油の被害が及ぶ事故が多発して、それを研究せざるをえない状況になったからです。その研究をしているのは連邦政府、州政府、機関、NGO、大学とコンサルティング業者などです。例えばデータ収集をする理由の1つとして、石油の開発を石油産業と政府が一緒になってカリフォルニアおよび西海岸全地域にわたって石油開発を進めるというプロジェクトを進めていたのですが、その前にやはり生態系の研究が必要でした。ポイントを申し上げるとすれば、このように長年に渡ってお金をかけて研究することになりますけれども、1度にお金をたくさん出していきなりこのレベルに到達する必要は決してないということです。もとの質問から脱線してしまったようですので、どういう質問だったかもう一度聞かせていただけますか。
ジョン・フリーズ:
海鳥全体の管理という点についてお聞きしましたが、特に平常時のモニタリング、それぞれの種類の繁殖および採餌についての生物的な研究、それからダメージを受けたコロニーの回復、長期に渡る保護活動の要素を盛り込んだ総合的な管理システムの大切さを強調していただけるかと考えていました。そして、こういったシステムは何故大切なのか、それから油の流出事故があった時にそれがどう関係してくるのか、ということについてお聞かせ下さい。
ハリー・カーター:
包括的な海鳥の管理を何故しようとするかというと、海鳥を色々な保全上障害となる問題から守りたいからです。管理することによって全体の個体数をできるだけ高いままに維持して、さらにその鳥の健康をも維持しようとしています。つまり、個体群が大きく鳥が健康であれば、被害を受けてもその被害によって個体群や種が絶滅はしないからです。油の流出事故によってどれだけの被害があったかを記録として残すことによって、カリフォルニアでは州からその回復をするために資金が出ますが、そうではない場合は事故原因者に対する訴訟によって資金を得ることができます。その資金でまずどの程度の被害があったかを明確にすることもできるし、回復させることもできます。
ピート・ボンタデリ:
1つ付け加えることがあります。以前私がカリフォルニア州魚類鳥獣保護局の局長を務めていた時に、すぐ利用できる情報は実際どんなに少ないかに気がつきました。そこで何をしたかというと、州や連邦の他のトラスティーや、あっちこっちから専門家を私達の中央の研修コースに呼んで、一緒に地図を作成してもらいました。私が後に州の議会に予算の申請をした時に自己弁護することになってしまいましたが、局長として私は、必要な情報を集めて地図にまとめるプロジェクトに油流出対策信託基金からのお金を利用することを決定しました。その基金を作るためにお金を払ったのは石油業界でしたが、彼等も結局地図の必要性を認めました。何故なら、地図を作っておくことで、資源をよりよく守っていける訳ですから、石油業界の長期的な賠償などによるコストを減らすも