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植松:

工藤さん何かコメントをいただけますか。ナホトカ号のオペレーションをした当時の第8管区の海上保安庁の隊長さんでした。

 

(会場より)工藤:

私は6月の末までナホトカ号事故が起こった日本海の西側の海を統括している海上保安庁の管区長でした。海の部分は海上保安庁、そして一度漂着した油の被害をはじめとする色々な処理は、日本では基本的に色々な都道府県、自治体がやることになっております。この鳥の問題はさすがに地域の防災計画の中にもきちんと組み込まれていなかった事故だと思います。まさに空については環境庁以外は関心がなくて、みんな下ばかり向いていたというふうなことでした。それから役所は非常にアメリカと仕組が違って、みなさんご承知のように縦割になっています。水谷さんがおっしゃったように、情報をどこに集めてどう統括していくかという役所全体がそろった課題が、まさにいま行政改革だとか言われていることにも通ずる問題だとも思っております。ただ私は今日の会合が非常にありがたかったのは、私自身がこれから、例えば海の上でいろいろな防除活動をしている中で、洋上の油の状況は逐次いろいろと報告を集めて、分析しますけれども、鳥がどうなっているかという点についてこれから環境庁や他の役所と連絡をとって、そういう目でも海上保安庁は仕事をしていかなきゃならないのかなと思いながら、みなさんのお話しを聞いておりました。ところが、まだサービスはそれを十分実施できるような体制になっておりません。ぜひこれから環境庁あるいは自治省ですとか、それから日本は漁業をしている人達が色々な意見を強く持っている国でございますから、農林水産省ですとか、いろいろな役所と関係してきますので、アメリカのように現場統轄指揮官(On-Scene Coordinator以下OSC)が非常にパワフルな権限を持って色々なことを決定していくことができない現状でありますが、役所間のいろんなコミュニケーションをもっともっとよくしながら、これからみなさんのお役に立っていきたいと思っております。

 

植松:

工藤さん、前向きなご発言をありがとうございました。ここから次のステップが始まるといいなと思います。

 

ジョン・フリーズ:

それではハリー・カーターさんのお話しの中にあった点について話を移したいと思います。ハリー・カーターさんからは、継続して海鳥の全個体数を把握して個体群を管理する必要性についてのお話しがありましたが、全体の管理プログラム、システムの中の重要な点をもう一度教えていただきたいと思います。またそういった管理のプログラムが流出事故が起きた時にどのように関係してくるのかといったお話しもお願いします。

 

ハリー・カーター:

今の話は非常に幅の広いご質問ですが、まず言えることは、ベースラインデータの重要性と先程ピート・ボンタデリさんがおっしゃいましたようにそういったベースライン

 

 

 

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