古南:
東京湾のセンシティブ・エリア・マップのことで言い忘れたことですが、先程数と分布の情報が無いと申し上げたのですが、今ポール・ケリーさんの話にもありましたが、例えば環境庁は毎年ガンとカモの分布調査をされています。ですから東京湾での冬のガンとカモの、まあガンはあまり来ていませんけれども、こうした情報は既にあります。それからNGOでも、例えば春と秋のシギとチドリの仲間に関しては、例えば日本湿地ネットワークという団体がシギとチドリのカウントを始めていまして、これは東京湾の情報も、もちろん伊勢湾も大阪湾もあると思います。それから「日本ウミスズメ類研究会」は海鳥の繁殖地の目録を作っていますので、これは主に島だと思いますがそういう情報も既にあります。それから「日本雁を保護する会」というグループがガンの渡来地目録を作っていますので、これはあまり海岸に関係ない部分もあると思いますけれどもそうした情報もあります。ですからこうした情報をうまく統合し、欠けているところを探して作ればいいのかなと思っています。
植松:
今、非常に重要な発展があるんだろうと思います。というのはナホトカ号の時には我々野生生物に関わっている人間と、佐々木さんのように海上のオペレーションをする人達、それから海上保安庁の人達との関係がなかったのです。しかしナホトカ号の経験を基にこの会場には野生生物をやっている人も、佐々木さんのように海事をやっている方も集まっています。さらにもうお一人紹介させていただきたい方で、ナホトカ号の時の第8管区海上保安庁の長でした工藤さんもこの会場に見えています。こういう席に日本の海上保安庁と環境庁とNGOが一堂に会すということが大事なステップなんだろうと思います。さて、流出事故対策での協力関係というのは、どこかがとりまとめないとこれはできないんですが、海上保安庁さん、海難防止協会さんを含めて可能性として日本ではどういう形でまとめていくのがいいのかという点を、ちょっと難しいかもしれませんが、アイデアでも結構ですので環境庁さんの方からあればお願いします。
水谷:
先程からセンシティブ・エリア・マップの話がされています。それでセンシティブ・エリア・マップを作るというのは確かに重要な話だと思います。アメリカ側から、できたセンシティブ・エリア・マップをどういう風に活用するのかが一番大切で、単に作るだけじゃしょうがないというお話しもありました。どこが脆弱な海岸であるのかという調査も実は環境庁もやっているんです。それぞれが、それぞればらばらにやっていたのかどうかはちょっとわかりませんが、多分これから求められることとしては、情報をどこに集約していくのか、ということなのかなと思います。それを一番活用できる所に集めるべきだというのが答えなんだと思います。そこの仕組み作りと申しますか、どんな形でどこに情報を集めたらうまく活用されるのか、といったあたりがあまりはっきりとしていないところが現状なのかなと思います。多分集めるべき情報というのは色々な人が既に持っていて、誰が情報を持っているかというのは、知っている人はだいたい知っていて、それをどこかに集めるという努力、ここに集めれば一番使えるんだという場所、そこに集める努力が今求められていることなのかと思います。