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る多くの団体との契約を維持しています。例えば州の各地区の自治体が、その地区の緊急時計画を地域全体の緊急時計画に沿った形で作成するために、州からこの資金を割り当ててもらっています。地区緊急時計画というのは、事故が起きた際に、私達が連邦の方と協力して対応する時に基本計画とするものです。

そしてもう1つの基金として、油流出対策信託基金(Oil spill Response Trust Fund)がその法律によって作られました。その基金を5,000万ドルに維持することが規定されています。その基金を集めるために、5,000万ドルに達成するまでの一定期間、州に入ってくる石油に1バレル毎に25セントの入港料をかけましたが、わずか4カ月半で目的の5,000万ドルに達しました。その基金の利子をジョナ・マゼット先生が説明された油汚染野生生物救護ネットワークを設立、運営していくために利用できるようにするために、もとの法律の修正が必要になりました。

サンタクルーズの施設を作るに当たって、私達が行政側で一番教訓となったことは、NGOと協力をして仕事をする必要があるんだということでした。さらに、ネットワークを強化していくために、積極的にそのNGOに資金を出すことも学びました。行政機関のようにその資金の使い道にNGOは拘束されませんので、自由に必要な仕事ができる訳です。もう1つ、これまでの成功に不可欠なことは、石油業界と野生生物救護をしているNGOと学界の専門家をつなぐ協力関係を作ることでした。この3者の代表によって技術的諮問委員会を作り、その協力のもとでネットワークを運営しています。

 

(会場より)池上:

日本海難防止協会の池上と申します。私達は船の安全と船による海洋環境保全ということをやっております。1つお伺いしたいのは、本日はカリフォルニア州のお話しを十分お聞きし大変感銘しておりますが、アメリカというのは大変大きな国ですし、アメリカの中でもメキシコ湾とか運河の多い東海岸も油流出事故が非常に多い地域だと思っています。特にメキシコ湾と東海岸といった地域でも同じような対応がとられているのかをお聞きしたいと思います。

 

ジョセフ・ブルソウ:

油の流出事故に対応するために私達(連邦)が採用しているシステム、つまり事故対策統轄体制、それから合同事故対策統轄本部(Unified Command)の体系は、全ての州に採用されることになっています。ということで、今はどの州もその同じシステムを使っています。それから、地域別緊急時計画策定プロセスというのも、全国的なプログラムです。このプログラムは地域によってある程度実施のレベルが違いますが、しかし、根本的な概念や最終的にどの地城も同じ水準に合わせるという必要性は、最初から沿岸警備隊で定められているものです。カリフォルニア以外の州においては、実施状況や取り組みの姿勢はそれぞれ違います。アラスカ州、ワシントン州、オレゴン州はカリフォルニア州とカナダのブリティッシュコロンビア州とも協力して、情報交換をしたり、お互いに一貫性のあるプログラムを作ろうとしています。メキシコ湾の地域では、それぞれの州の取り組みの姿勢が非常に異なっていて、例えばテキサス州では州の体制が非常に優れたもので、私達沿岸警備隊とよく協力して対応します。しかし、ミシシッピ州やアラバマ州の場合では、対応はほとんど全て沿岸警備隊、つまり連邦政府にまかせています。

 

 

 

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