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故の関係で汚染されているとは考えていませんが、油の流出事故の場合でもそういった哺乳類をどのように救護すればいいのかという計画書は作っています。ご参考までに哺乳類の内最も油の汚染に弱い動物は何かといいますと、毛をはやしている動物で、例えばラッコですとかオットセイなどです。 トドのようなものはそれほど汚染の影響が見られません。と言うのは、 トドのような動物は自分の毛を毛づくろいなどしませんし、体温を脂肪の層で守っていますので、汚染の被害は少なくなります。

 

植松:

その他フロアーの方でリハビリテーションセンターについてご質問のある方はいらっしゃいますか?

 

(会場より)樋口:

東京大学の樋口と申します。今日はアメリカの方からリハビリテーションセンターの施設の問題とその他いろいろなお話しを伺って大変感銘したのですが、今日伺った話はでき上がった施設、でき上がった仕組みについてのお話しだったと思います。多分カリフォルニアでも最初はもちろん不十分の体制の中でいろいろなことが始まっていったと思います。結局物事を大きく飛躍的に発展させる上で節目になるような出来事があると、大きく施設も仕組みも変わっていくのではないでしょうか。色々な苦労が今までおありだっと思いますが、施設なり仕組みなりボランティアの制度でも、何かそういったものをいい形に作りあげてこられる上で、多分法律あるいは仕組みの上で大きな飛躍をもたらすような出来事があったのではないかと思います。例えばお金の入り方で政府からお金が入ってくるとか事故を起こした会社から入ってくるというようなところも含めて、もしそういうものがあったら、どなたでも結構ですので教えていただけたらと思います。

 

ピート・ボンタデリ:

おっしゃる通りかなり大きな出来事があって私達が動きだしたことは事実です。さらに言える事は、かなりゆっくりと動き始めたということです。油汚染野生生物救護ネットワークの土台を作った活動の多くは連邦ではなく、州の資金で行われました。まず、州で法律ができて、そこでラッコの保護施設をラッコが生息する地域に設立することを命じました。そのために州が油流出防止管理基金(Oil Spill Prevention and Administration Fund)から資金を出しました。残念ながらその時の予算は、州の方では1回限りのものだというつもりで資金を出してくれましたが、私達の方では、計画や施設を建てる場所を選ぶのに時間がかかり過ぎて、その年度内に与えられた予算を十分に活用することはできませんでした。ということで、私達がその施設を作るためにさらに3回、州政府に申請して何とかまた予算を当ててもらう大変な仕事がありました。今年やっとその施設がサンタクルーズでオープンしました。

当初の法律では、その施設以外のネットワークに対して、州から資金が出るようなことが書いてあった訳ではありません。ただ、ネットワークを作り上げることはその法律で決まったことです。その法律では2つの基金が新設されました。その1つは油流出防止管理基金で、それは州に輸入される石油に1バレルにつき4セントの入港料をかけて維持する基金です。その基金(入港料)によって、私達は継続的なスタッフの育成や、私達が行っている多くの平常時の生態系の調査や、野生生物救護システムに含まれてい

 

 

 

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