ででも汚染の事故が起きた時にその場で対応できるような小さな施設、もしくは移動型の野生生物の救護活動ができるリハビリテーションの設備を用意した方がいいと思います。幾つかそういった選択肢があると思いますけれども、最終的に被害を受けた動物を中央の施設に移動させ、徹底した救護をする必要があります。
植松:
リハビリテーションセンターの件について、またその運営についてジョナ・マゼットさんにご質問のある方、フロアーの方でいらっしゃいませんでしょうか。
(会場より)藤本:
藤本といいます。私は日本動物園水族館協会の会員で、海棲哺乳類のコーディネーターをしていますが、今日のお話しを聞いているとどうも鳥にばかりフォーカスが当たっているようです。しかし、アメリカの方々のお話しでは、あちらの施設はちゃんと海棲哺乳類(marine mammals)にも対応するようになっているようです。日本の場合も海棲哺乳類が油に汚染される可能性が十分にあります。例えば北海道にそういう事故が起これば季節にもよりますがアザラシとかトドとか、それから本州においても、これも季節によりますが常磐沖あたりで事故が起きれば、オットセイが汚染される。ましてオットセイの場合は毛で保温していますから海鳥と同じような状況が起こるでしょう。私の方から言わせていただくと日本の施設の場所や内容には、海棲哺乳類にも対応できるような場所、設備、スタッフを是非お願いしたいと思います。
植松:
その辺について私たちにアイデアがあるわけではありませんが、環境庁さんの委託で油汚染の野生生物の救護マニュアルが策定されています。昨年度はまだ仮版でして鳥類しか含んでいませんでした。今年度改訂版が来年の4月にできますが、それには海棲哺乳類も含んでいます。カリフォルニアの例にも見られるように、油汚染生物の救護については当然海棲哺乳類も含まれますが、マニュアルができてそれを中央政府、都道府県がどういう風に料理してくださるのかは、その地域の方とそれに携わっている専門の方々の後押しが一番重要だと思っています。
ジョナ・マゼットさんにこの海棲哺乳類の話についてもう一度お聞きしたいと思います。サンフランシスコに海棲哺乳類の施設が幾つかありますが、そこでの年間取扱数とその海棲哺乳類の油汚染での被害のだいたいのパーセンテージをもしご記憶でしたら教えて下さい。それから、油汚染野生生物救護ネットワークがどういう形でそれに関与していくのかといった点を教えていただければ、今現場でこれから海棲哺乳類も対象にしていこうと考えていらっしゃる方にも参考になると思いますので、お願いします。
ジョナ・マゼット:
カリフォルニアに「海棲哺乳類ストランディングネットワーク」というものがあり、その施設が全部私達の油汚染野生生物救護ネットワークに盛り込まれている形になっています。サンフランシスコにある海棲哺乳類センターが一番大きな施設で年間300匹くらいの鰭脚類を取り扱っています。その内油の汚染によるものはわずかの数です。主に自然の移動パターンの中でどこかで古い重油に出会ったりしたためと見ています。流出事