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た野生生物の個々のリハビリテーションデータも大切です。被害を受けた個々の鳥や海棲哺乳類の治療をすることの生物学的な意味を疑問視する人もいますが、私はこういった活動で得られる情報もNRDAの過程における重要なリンクになると考えています。何故なら、こういった情報は流出した油の経路が生態系に及ぼした生物学的な影響を教えてくれますし、さらにリリースされた野生生物のモニタリングによって流出事故の長期に渡る影響も推定することができるからです。

現在OSPRでは、ワシントン州、オレゴン州の同様な州のトラスティーと、連邦の魚類野生生物保護のトラスティー派遣機関、そして石油業界とも協力し、油流出事故の影響を科学的に評価する手順を補足し標準化する努力を続けています。目指すところはより協調的な方法でコストを最低限に抑え、トラスティー派遣機関どうしの対立をなくし、迅速な環境の浄化と回復を実現することです。このような協力体制には、さらに次のような利点があります。それは、上記の形で収集された情報を公開することによって、さらなる研究が進められ、将来の事故対策をより適切なものにするための参考にもできるということです。

 

上記の内容をまとめますと、油の流出事故によって野生生物やその生息地が必ず受ける被害を十分に効果的に回復させるためには、NRDAの過程は不可欠だということです。カリフォルニア州ではNRDAを充実させるために、自然資源のベースラインデータを収集し、特に地区緊急時計画の作成過程のような平常時のプランニングを行い、さらに事故対策統轄体制を通して野生生物の問題点を全て網羅するように努力しています。こういったことで、将来起こりうる油流出事故の対応をより充実したものにしようと努力しているのです。

 

今日は州および連邦の法令に基づいたカリフォルニアで採用されているシステムについてお話ししました。しかし、米国と違って日本は油流出事故の補償を管理する国際協定の加盟国です。実は、日本は流出事故補償の国際基金に最も貢献している国の1つです。もしかすると一番の貢献国かも知れません。この基金は環境被害の補償に使うことができるものなのですが、今までそういった用途に使われてきていません。もし日本が環境被害の補償のためにこの基金を使うことを主張すれば、油流出事故によって環境が被る被害を完全に補償することを確実にするという点で日本はリーダーになれるでしょう。

 

環境被害の補償を行うためには、事故以前に存在していた自然資源の本来の姿を表わすベースラインデータと被害の範囲と程度に関する全ての情報が、環境被害を証明するために文書化されなければなりません。鳥そのもの(鳥類海岸線調査)や、汚染鳥に関する十分な文書、および汚染された鳥の放鳥率といったデータはより重要なものとなるでしょう。今日のシンポジウムでは、今まで日本で行われてきた努力が明らかになりました。このシンポジウムをきっかけに、今までの努力が実を結び、日本の事故対応がより発展していくことになるでしょう。今後日本は日本の海運業界と協力し、アジアおよび世界における流出事故対応のリーダーとなることを私は確信しています。油流出事故の補償に関する国際協定で、環境回復のために基金を使うことは許されています。このような基金および事故原因者からの賠償金をうまく活用すれば、流出事故で被害を受ける海鳥だけでなく漁業や養殖も含めた他の資源、さらにはそれらの全ての土台である自然生態系に対するより効果的な回復対策が実現することになるでしょう。

 

 

 

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