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体の対策に細かい油除去の対策が盛り込まれるように、事故対策統轄体制の計画課を通して提案します。

さらに、州および連邦の機関によって監視活動が行われます。これは、事故原因者が十分に自分の責任を果たしていることを確認するためです。事故原因者には法律上、事故処理計画の油除去活動を効果的かつ安全に、しかも環境を保護するように実施する義務があります。ここでは油除去作業のやり方によって資源がさらに悪影響を受ける恐れがないかが検討され、場合によっては自然回復措置が提案されます。これが提案されると野生生物対策グループに相談し、さらなる影響が予想される場合には現場からの鳥の追い出しが確実にされるように計画されます。野生生物対策活動の詳細については、後程ポール・ケリー氏がお話しします。

 

油で汚染された野生生物は救護された後、油汚染野生生物救護ネットワーク(Oiled Wildlife Care Network,OWCN)によって治療を受けます。ネットワークの活動については後程ジョナ・マゼット先生がお話しします。カリフォルニアの別法は、州全域をカバーする野生生物救護センターのシステムを作るように求めています。現在数年をかけてこういったセンターを設立している最中で、資金はカリフォルニア州の60億円の油流出対策信託基金の利子収入から得ています。この基金というのは、事故原因者を特定できない場合、もしくはその原因者が責任をただちに認めない場合に、迅速かつ効果的な事故対応をするためにOSPRの室長が使えるお金です。この仕組みは、事故の原因者がタンカー以外の船でカリフォルニア沖を航行する際に流出油除去契約が事前に結ばれていなかった場合に特に効果を発揮します。

州の法律では、流出事故におけるあらゆる目的のためにこの基金をOSPRの室長が使えるようになっています。例えば、NRDAに使うこともできますし、環境を十分に回復させたり事故原因者に全ての費用を支払ってもらったりするために訴訟を起こす場合にも使えます。この基金は、法律上の「原因者による支払い」という原理に基づいて作られました。すなわち州の海域で採掘、輸入、通過する全ての石油は、その量(バレル)ごとに一定の金額が課税され、それが基金になります。連邦レベルでもOPA90によって似たような方法で1,200億円の基金が作られています。

しかし、この連邦の基金は、連邦の連邦現場統轄指揮官(Federal On-Scene Coordinator, FOSC)が実際の油除去活動とNRDA用の予備評価をするためにしか使えないことになっています。訴訟の費用や連邦のトラスティーがNRDAを十分に行うための資金は別途米国議会に請求する仕組みになっているからです。

このような違いから、カリフォルニアでは法律が要求する「完全な回復」が確実に実施されるようにするための事故後の訴訟などの活動を、OSPRが主な受託者として統括します。州の法律は、影響を受けた自然の回復または、同等生息地評価過程に基づく代替資源の確保を要求しています。この過程は罰則ではなく、環境保護の観点から全ての失われた用途が完全に回復されることを保証するためのものです。

 

十分なNRDAが効果的に行われるためには様々な情報が必要になります。それらは、事故対策統轄体制の計画課が海岸線油除去およびアセスメントチームを通して収集するデータや、対策課の野生生物対策グループが収集する情報および地区緊急時計画の基礎となる自然資源のベースライン(平常時の)データといった情報です。

さらに影響を受けた全ての野生生物を収容することによって得たデータや、油で汚染され

 

 

 

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